- 著者
-
村上 浩士
- 出版者
- 中央大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
減数分裂は遺伝的多様性を生み出し、配偶子形成に必須であるがその制御機構に関しては不明な点が多い。本研究では、減数分裂に特有の諸現象を協調的に進行させる制御機構の解明を目指す。特に、(1)減数分裂前DNA複製と遺伝子組み換え開始の制御機構、(2)減数分裂前DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構、 (3)フォークヘッド型転写因子による第一減数分裂開始と遺伝子組換え開始の制御機構、及び(4)減数分裂前DNA複製の開始の制御機構を分裂酵母をモデルとして研究することにより、減数分裂過程の開始から減数分裂前DNA合成及び第一減数分裂までの減数分裂の制御機構を明らかにする。(1)減数分裂前DNA複製と遺伝子組み換え開始の制御機構に関しては、Cds1キナーゼの基質の候補Mei4を同定し、このタンパク質がDNA複製阻害時にCds1 により実際にin vivoとin vitroで主にN末端部分にリン酸化されていることを示した。(2)減数分裂前DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構に関しては、上記のMei4変異(Cds1によるリン酸化部位の変異)において、減数分裂前DNA複製を阻害すると、第一減数分裂は開始しなかった。そこで、別の因子が関与している可能性について検討し、候補タンパク質Fkh2を1つ発見した。(3)フォークヘッド型転写因子による第一減数分裂開始と遺伝子組換え開始の制御機構に関しては、Mei4以外のフォークヘッド型転写因子Fkh2がこの過程に関与しているかを検討している。(4)減数分裂前DNA複製の開始の制御機構に関しては、meiRNAがフェロモンシグナルのない状態では減数分裂前DNA複製に必要なことを明らかにした。また、meiRNAのターゲットは転写活性化因子であるRep1である可能性が高くなり、rep1 mRNAはMmi1による分解制御を受けている可能性が高くなった。