著者
村上 美代子 佐野 洋子 永江 春江
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.9-15, 1975-12-20

1.ジューサー処理によるジュース中の主な栄養構成をしらべてみた所, 殆んどの成分は混合した原料成分の約2/3程度がジュース中に移行し粗繊維でさえもとの1/3程度はジュース中に含まれていた。しかしビタミンCのみは完全に破壊されていた。2.ビタミンC結晶の水溶液中に, ジュースに用いられている代表的な種々材料のジューサー処理汁液を混合した場合のビ ミンC量の動静を観察した所, アスコルビナーゼを含まない大根ジュースを混しても何ら変化を認めなかったが, アスコルビナーゼを含むきゅうりのジュースを加えるとビタミンCは速かに破壊された。ポリフェノールオキシダーゼを含むりんごのジュースを加えても, きゅうりの場合と同様にビタミンCは破壊された。この場合, 味にさしつかえの無い0.5%食塩を加えてみたが, その効果をあまり認め得なかった。つぎに, アスコルビナーゼ作用の強い生人参のジュースを混じた場合, きゅうりやりんごのジュースの場合と同様の結果をみた。しかし この人参をあらかじめ電子レンジ処理(2分間加熱)した後, ジュースとし添加した場合には大根の場合と同様ビタミンCは破壊されなか3.以上の結果, ジューサーを用いてジュースをつくる場合, 原料の栄養構成の損失は案外少い。しかし素材によってはジュースからビタミンCを期待することは無理のように思われる。ビタミンCを期待するならば, まず素材中のビタミンCを破壊する酵素の存否を確認し場合によってはその前処理を適切に行った後ジュースをつくるべきである。