著者
仲山 良二 村上 輝子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.91-100, 1976

1.深川市在住婦人20~59才の全10, 449名から年令階層別に無作為抽出した計410名について健康水準を検索し, 併せて農夫症との関連を検討した。<BR>2. 26項目について年令階層別, 職業別に平均値 (一部は標準偏差も) 又は実数か率かの何れかを報告した。<BR>3. 特に肥満度は全国平均よりも高いことを指摘した。<BR>4. 藤井の農夫症10症候を検討し, 1) 農夫症は, 現今では農業者に特有な職業病ではなく, 広く浅く全住民に分布普及していることを認めた。2) いきぎれ, どうきを最重症, 肩こり, ひるでもねむいを最軽症, 他を中等症とした。3) 10症候の類似性を検討して, 3群別したが, 群間の重合があって, 三円が交り合う型の構築図を想定し, 就中, 肩こりの解消を最優先すべきことを強調した。4) 農夫症症候は所謂循環器系成人病と重合又は並進する部分が多いことを認めた。少なくとも公衆衛生対策的には, 両者は区別の要を認めず, 綜合的に循環器対策として, 少なくとも20才代から検診, 健康指導の必要を強調した。<BR>5. 対策として, 次の公衆衛生処方を提唱した。1) 腹八分目運動, 2) テレビ体操毎日2回以上。