- 著者
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村山 治太
- 出版者
- 国立極地研究所
- 雑誌
- 南極資料 (ISSN:00857289)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.1, pp.67-76, 1987-03
第26次日本南極地域観測隊越冬隊(1985年)は環境科学モニタリング観測計画の一環として, 昭和基地周辺にて大型動物モニタリングを行った。アデリーペンギン, ウェッデルアザラシ, コウテイペンギン, ナンキョクオオトウゾクカモメ, その他の海鳥を対象とした目視観察を実施した。オングル島周辺の海氷は1985年3月に割れはじめ, 4月9日にすべて流出した。オングル海狭が再び完全に結氷したのは5月であり, 雪上車の氷上走行が可能となったのは6月であった。アデリーペンギンは4月27日に視認したのを最後に冬期間は観察されなかった。9月29日にアデリーペンギンのものと思われる足跡を認めた後, 10月21日に再びその姿を確認した。11月16日に産卵, 12月23日に雛を確認した。7つのルッカリーでの最大個体数は合計2143羽であった。ウェッデルアザラシも4月-9月はほとんど見られなかった。9月末から1頭から数頭の群をしばしば見かけ, 10月10日には出産直後の子を見た。大きな群は3月25日にとっつき岬の近くで, それぞれ約100頭の3群を見た。10月下旬にはルンパの近くで30頭以上の雌が集団で出産していた。最多数は親34頭, 子26頭であった。コウテイペンギンは3月末から4月初めにとっつき岬までのルートで, 数羽から10羽の群を10以上(計数10羽)視認した。基地周辺では10月23日に10羽を確認しただけだった。ナンキョクオオトオゾクカモメは5月中旬に姿を消し, 10月20日以降基地で毎日見られた。最大出現個体数は23羽であった。この他ユキドリ, ナンキョクフルマカモメ, マダラフルマカモメ, イワツバメを視認した。