著者
阿久 津寿江 森 豊 村川 祐一 染谷 泰寿 中島 秀嗣 岡田 和久 上野 博嗣
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.471-476, 1999-06-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
12

症例は36歳, 男性. 平成9年8月, 肥満の治療目的にて入院となる. 入院時, 身長168cm, 体重162kg, BMI57.0, 体脂肪率59.3%, 腹部腰高GT像によるV/S比0.32, 合併症として糖尿病, 高血圧, 睡眠時無呼吸症候群 (SAS), 低酸素血症に伴う二次性多血症を認めた. 超低力ロリー食療法 (420~968kal/日) による45kg余りの減量により, 腹部臍高CT像における内臓脂肪面積, 皮下脂肪面積は減少し, レプチン, PAl-1, TNF-α等のアディポサイトカインはいすれも低下した. さらに, 75g糖負荷試験における耐糖能は糖尿病型から正常型となり, 顕著なインスリン過剰反応も是正された. また, 血液ガス分析におけるPO2の増加, O2飽和度の改善や多血症の改善も認めたが, SASは改善しなかった.