著者
卓 興鋼 吉田 佳督 大森 豊緑
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-266, 2011 (Released:2011-08-01)
参考文献数
43
被引用文献数
4 16

近年,わが国においてもエビデンスに基づく医療(EBM)の提供が求められており,その根拠となる学術論文のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの重要性は,ますます高まっている。システマティックレビュー報告は,疾病の診断および予後,予防対策などに広く活用されている。これまでいくつかの研究でシステマティックレビュー報告の質が評価された結果,報告の質は全体的に不十分であった。1996年,メタアナリシス報告の質を向上させるために,国際研究グループが「QUOROM(メタアナリシス報告の質)声明」という指針(guidance)を作成した。さらに,QUOROMの項目等について検討してきた運営委員会は,2009年6月,その改訂版を作成し,「PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明」と名づけた。このPRISMA声明では,システマティックレビューの概念および実践面におけるいくつかの発展が見られる。本稿では,著者らがこれまでシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行ってきた経験を踏まえ,PRISMA声明の概要と展望について概説する。
著者
古金 遼也 藤野 明浩 内田 佳子 狩野 元宏 野坂 俊介 金森 豊 笠原 群生 梅澤 明弘 義岡 孝子 要 匡
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.838-845, 2022-08-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
20

症例は13歳男児.突然の上腹部痛と嘔吐を主訴に近医を受診した.血液検査では異常はなかったが,腹痛が強く当院に紹介となった.独歩で来院したが,診察中にショック状態となった.超音波検査にて上腸間膜動脈起始部から広がる後腹膜の広範な血腫を認めた.血圧維持が困難となり,救急外来でバルーンカテーテルによる大動脈遮断を行い,緊急手術に移った.腹部血管は脆弱で剥離操作にて次々と動脈が断裂し止血は困難であった.下半身血流遮断3時間が経過し,腹部臓器への虚血による損傷が非可逆的となり救命困難と判断し閉腹した.術後3時間で死亡した.剖検時に摘出した動脈の組織像で,壁内の弾性線維の著しい断片化を認め,また血液検体のゲノム解析にてCOL3A1遺伝子に新規病的バリアントを認め,血管型Ehlers-Danlos症候群と確定診断された.急性発症で原因不明の後腹膜血腫の場合,稀だが本疾患も鑑別に加えて診療する必要がある.
著者
森 豊彦
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.642-645, 1999-09-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
13
著者
橋本 幸彦 森 豊
出版者
Association of Wildlife and Human Society
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.1-8, 2017 (Released:2018-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

In this study, we describe a transition in the distribution of Japanese serow (Capricornis crispus) in the Suzuka Mountains Japanese Serow Protection Area, along the border between the Mie and Shiga Prefectures. We sampled serow distributions using camera traps at high and low elevations and light census methods in high elevation areas. Two and five cameras were placed in high elevation areas in 2014 and 2015, respectively, and light censuses were conducted monthly, except during the snowy season. Additionally, we placed two and four cameras in low elevation areas in 2014 and 2015, respectively. Despite a report of high serow density in the 1970s in high elevation areas, we found no evidence of the species. However, in low elevation areas, where serows were rarely found in the 1970s, we found the species at all camera locations and confirmed the birth of offspring. These results show that the distribution of serows in the protected area is contracting. Second, we documented changes in serow distribution by analyzing the results of monitoring data collected five times at 5-9-year intervals. In the 1980s, serow density in the center of the protected area (high elevation) was greater than that along the edges (low elevation). More recently, this pattern changed such that densities declined in both areas. In contrast, the density of Sika deer (Cervus nippon) has increased rapidly. The effect of increasing populations of Sika deer on Japanese serow density should be examined, and an action plan for serow conservation should be developed.
著者
阿久 津寿江 森 豊 村川 祐一 染谷 泰寿 中島 秀嗣 岡田 和久 上野 博嗣
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.471-476, 1999-06-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
12

症例は36歳, 男性. 平成9年8月, 肥満の治療目的にて入院となる. 入院時, 身長168cm, 体重162kg, BMI57.0, 体脂肪率59.3%, 腹部腰高GT像によるV/S比0.32, 合併症として糖尿病, 高血圧, 睡眠時無呼吸症候群 (SAS), 低酸素血症に伴う二次性多血症を認めた. 超低力ロリー食療法 (420~968kal/日) による45kg余りの減量により, 腹部臍高CT像における内臓脂肪面積, 皮下脂肪面積は減少し, レプチン, PAl-1, TNF-α等のアディポサイトカインはいすれも低下した. さらに, 75g糖負荷試験における耐糖能は糖尿病型から正常型となり, 顕著なインスリン過剰反応も是正された. また, 血液ガス分析におけるPO2の増加, O2飽和度の改善や多血症の改善も認めたが, SASは改善しなかった.
著者
江口 麻優子 野坂 俊介 植松 悟子 藤野 明浩 金森 豊 岡本 礼子 窪田 満 石黒 精
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.107-115, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
18

小児の盲腸捻転は稀であるが,重症心身障害児,特にCornelia de Lange症候群(以下CdLS)での報告が多い.症状は非特異的で,画像診断の役割は大きい.早期診断は腸管壊死を回避する上で重要で,診断や治療の遅れは死亡に繋がる可能性がある.当院で経過観察中のCdLS 13例中4例に盲腸捻転を認めた.いずれも盲腸捻転に特異的な腹部単純撮影所見,もしくは過去と比較して変化を認め,引き続き行った造影CT所見から全例で術前に盲腸捻転を疑うことができた.盲腸捻転併発4例と捻転非併発9例を比較すると,併発例全例が胃瘻造設術・噴門形成術後で,これらの手術が捻転の誘因になると考えられた.また,既報告と比較して死亡率と術後合併症率は,より低率であった.CdLSで,胃瘻造設術・噴門形成術後の児が腹部症状を示す場合,盲腸捻転の併発を念頭に,腹部単純撮影に続く造影CTが早期診断と治療に有用である.
著者
飯森 豊水
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.5-18, 2017 (Released:2017-11-20)
参考文献数
26

ウィーン古典派の作曲家J. ハイドンの研究においては、20世紀終盤に明確な変化があったことが一部で指摘されている。 ハイドン研究史を概観すると、19世紀後半にC.F.ポールによってハイドンに関する学問的研究が始まり、1930年代のデンマークの研究者J.P.ラールセンを先駆として、戦後には活発な資料研究が展開された。20世紀の後半は、組織的で体系的な資料研究と、その成果としての学問的校訂楽譜による「ハイドン全集」をはじめとする諸資料の刊行が中心的課題となった。その課題が一段落する世紀の終盤になって明確な変化が起こり、新たな研究の地平が拓かれた。しかしその目指すところはまだ明らかとはいえない。小論では、この変化を分析し、従来のハイドン研究にはなかった新しい研究の可能性を検討する。
著者
内山 恭輔 松田 健男 松森 豊己
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.1082-1086, 1993-12-25 (Released:2011-01-27)
被引用文献数
2 3

The Oheyama plant of Nippon Yakin Kogyo Co., Ltd. was built here at Miyazu city in 1942, for treatment of low grade nickel oxide are (0.4-0.7% Ni) from nearby Oheyama mine by Krupp-Renn process. but at the end of war in 1945, the nickel smelting operation was stopped.In 1950, the Kawasaki plant of Nippon Yakin Kogyo Co., Ltd. succeeded in producing stainless steel for the first time in Japan by oxygen top blowing in an arc-furnace, paving the way to mass production of stainless steel. This achievement quickly increased the demand for nickel, an important raw material of stainless steel, making the Oheyama plant resume its operation in 1952 by switching to higher grade nickel oxide ores imported from New Caledonia. Thus Nippon Yakin Kogyo Co., Ltd. established a vertically-integrated production process from Ni smelting to finished stainless steel products for the first time in Japan.Since then the process of the Oheyama plant has been greatly modified and developed to establish “Nippon Yakin Oheyama Process”, the only method in the world that uses a rotary kiln for smelting nickel oxide ores.The nickel ores are first ground by both dry and wet methods and blended well with anthracite and limestone, to be formed into briquets. They are first dried and preheated efficiently in a grate directly connected with a rotary kiln and then charged into the kiln, where all the metallurgical reactions such as dehydration, reduction, slag-formation and refining by excess air near discharge end, occur to form ferro-nickel nodules (0.3-20mm).The Oheyama Process is considered a very useful method to obtain nickel material for stainless steel production, because its low energy cost as well as individuality of its product, easy to handle and almost free of impurities, help significantly reduce the cost of stainless steel production.The Oheyama plant is now producing 1, 150t of Ni as ferro-nickel a month, and besides, 35, 000t of byproduct, “NAS Sand” a month from slag, which is mainly used as public works materials such as asphalt aggregate, concrete aggregate and so on.Situated near Amano-hashidate, one of Japan's Three Famous Views, the Oheyama plant pays full attention to protecting the surrounding environment and to existing in harmony with nature.
著者
佐井 佳世 久保 尚士 櫻井 克宣 玉森 豊 前田 清
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.1339-1343, 2021 (Released:2022-01-31)
参考文献数
8

症例は86歳の男性.心窩部不快感を主訴に近医を受診し,内視鏡検査で胃角部小彎に3型進行胃癌を指摘され,当院を受診した.諸検査で,cT3N2M0 Stage IIIと診断し,手術の方針とした.術中所見では肝門部リンパ節,総肝動脈リンパ節,左胃動脈リンパ節が累々と腫大しており,根治的切除を断念し,胃切除のみを行った.術後にTS-1を開始するも,術後10カ月目のCTで転移リンパ節の増大を認め,ラムシルマブ併用パクリタキセル療法に変更したが,リンパ節は縮小せず,術後19カ月目よりニボルマブの投与を開始した.術後22カ月目のCTでリンパ節腫大は消失したが,ニボルマブによる下垂体機能低下症が出現し,投与を中止した.術後40カ月現在,再発なく生存中である.転移再発胃癌に対するニボルマブの奏効率は11%程度と報告され,中でも完全奏効は極めて稀である.今回,ニボルマブを投与し完全奏効を得て長期生存中の切除不能進行胃癌を経験したので報告する.
著者
新井 健司 池田 雅名 大森 豊
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.G-86_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに・目的】平成26年度における厚生労働省の調査によると民間企業における身体障害者の雇用は43万人を超え、毎年増加傾向にある。介護保険分野で高齢者を主な対象にしている理学療法士は機能回復や日常生活活動動作の獲得、活動参加に向かったアプローチといった医学的なリハビリテーションに偏りがちであるが、リハビリテーションの概念は職業復帰・就労といった部分も含めた広範囲なものである。特に比較的年齢が若い第2号被保険者などの場合にはそのような観点が必要であると考える。また、介護保険サービスの充実に伴い、そのような対象者も増えてきている現状である一方、必ずしも成功するとは限らないのも現状である。障害者の就労支援には、対象者の身体的側面、精神的側面、知的側面、社会的側面、職業的側面の視点からのアセスメントを要する。そして、職業訓練や適正に応じた職場の開拓、職場定着のための相談などを担う就労移行支援事業の活用が推進されている。しかしながら、就労移行率が低い事業所が多く、その背景には対象者の選定に無理があるという報告が散見される。(朝日、2016)また、これらのアセスメントはリハビリテーション職種が専門職として評価すべき点が含まれている。 したがって、理学療法士が対象者のアセスメントを行い、就労移行支援事業への適切な選定されることは障害者の雇用促進に資すると考えた。今回、訪問看護ステーションにおける理学療法士として、症例を通して、職業復帰・就労を望む障害者が就労移行支援事業の活用に至る要因を分析した。【方法】 平成24年から平成29年に当事業所から訪問理学療法を受けた、職業復帰・就労を希望する身体障害がある者5名を対象とした。まず、対象者の基本属性、家族構成、経済状況、就労移行支援事業への活用の有無を調査した。就労支援に必要な身体的・精神的側面のアセスメントとしてFunctional Independence Measure(FIM)、知的側面として自己決定と判断力に関わる障害の有無、Mini Mental State Examination、社会的側面としてLawtonの尺度、職業的側面として職歴を後方視的に調査し、就労移行支援事業の活用に至る要因を分析した。【結果】 対象者は日常生活・屋外活動が自立されており、職業的側面を除くアセスメント項目に大きな差は見受けられなかった。対象者のうち、就労移行支援事業の活用に至ったものは、独居や未婚などの家族・経済状況を有している3名であった。その他2名は、主婦の専従・生活保護受給といった経済状況の変化に伴い、就労自体を断念していた。【結論】障害者の就労に関して、家族構成や経済状況等の要因が大きく関わる傾向が捉えられた。訪問理学療法士は、障害者の就労支援に関わるアセスメントを理解し、就労移行支援事業への適性を検討していくべきである。【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、本研究の目的を説明し、書面にて同意を得た。
著者
小宮 秀明 森 豊 黒川 修行
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

これまで内臓脂肪面積(VFA)と肥満関連遺伝子との関連性についての報告はない.今回は肥満関連遺伝子としてB3AR、B2ARやUCP1を用い、VFAの蓄積に及ぼす肥満関連遺伝子の影響について検討した.被験者は男性81名、女性186名である.測定項目はVFA、腹囲、血糖、血清脂質、血圧である.アンケートは生活習慣、食習慣及び運動習慣である.3遺伝子の多型別にVFAを比較した結果、有意差は認められなかった.また、年齢、運動習慣、歩行量を調整した分析においても多型間に有意差は見られなかった.一方、男性においては運動習慣との間に有意差が確認され、運動の実施がVFAの減少に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
鈴木 和彦 大森 豊緑 川村 悦春
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.271-275, 1995-08-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

採卵鶏 (Dekalb XL-L) を用い, 飼料に亜麻仁油を2%添加し, α-リノレン酸強化鶏卵 (以下, α-リノレン酸卵; ω3/ω6比0.44) を得た。このタマゴを1日2個, 普段魚介類の摂取が少なく, 血漿ω3/ω6脂肪酸比の低い女子学生 (年齢19~21歳) 4名に3週間摂取させ, その血漿脂質性状と血漿ω3/ω6脂肪酸比への影響をみた。血漿コレステロール値やトリアシルグリセロール値はやや低下の傾向を示したが, 有意な減少ではなかった。ω3系脂肪酸では, α-リノレン酸やイコサペンタエン酸は上昇傾向を示し, ドコサヘキサエン酸は統計的に有意な上昇を示した。ω6系の脂肪酸では, リノール酸はほとんど変化を示さなかったが, アラキドン酸は有意に低下した。これらの結果, 血漿ω3/ω6脂肪酸比は, α-リノレン酸卵摂取前では0.07±0.03 (mean±SD) と低い値であったが, α-リノレン酸卵の3週間摂取後では, 0.16±0.08と有意に高い値に変化した (p<0.01)。したがって, α-リノレン酸卵は魚介類摂取が少ないために生ずると考えられる血漿低ω3/ω6脂肪酸比を高めるために有効な食品になるかもしれない。本研究は (社) 日本栄養・食糧学会倫理委員会の承認を得たものである。本稿の一部は第48回日本栄養・食糧学会 (福岡, 1994年) において発表した。なお, この共同研究は大森豊緑博士が倉敷西地域保健所長在職時に行った。
著者
大場 恵史 栗田 典之 栢森 豊 田島 雄二 高橋 良彰 野田 一郎 石田 康行 大谷 肇 柘植 新
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1335-1340, 2002-12-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
17

Structural information of the styrene-ethylene glycol dimethacrylate (St-EGDM) cross-linked copolymers obtained by Pyrolysis-gas chromatography (Py-GC) was compared with those obtained by conventional dynamic mechanical analysis and swelling measurement. The monomer ratios of St/EGDM in the highly cross-linked polymers determined by Py-GC were in fairly good agreement with the monomer feed ratios, while those estimated indirectly by the conventional methods were considerably higher than the feed ratios. Furthermore, the St contents estimated by Py-GC for the polymer samples obtained in low conversion were found to be extremely lower than the feed ratios suggesting that the cross-linking domains would be formed at the early stage of the polymerization. These observations suggest that the network structures of the cross-linked polymers in this work would be inhomogeneous to a great extent mainly due to the potential presence of the cross-linking domains in which EGDM monomer units are localized.
著者
川上 憲司 望月 幸夫 森 豊
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

換気検査には従来より ^<133>Xeガス、 ^<81m>Krガスが使われているが、入手に予約を必要とし、緊急検査に間に合わない。 ^<99m>Tc-エロゾル吸入検査も換気検査の代用とされるが、エロゾルの粒子径が大きいため、疾患肺では換気分布を表さない。^<99m>Tc-テクネガスは、 ^<99m>Tcを炭素の微粒子に標識し、換気分布に近いガス分布を得る放射性医薬品として開発された。本研究では、テクネガスの粒子径、捕集効率、生体における挙動、および種々肺疾患における臨床応用などについて検討した。テクネガスの粒子径は、電顕で計測した結果、大部分が20〜30nmφであったが、一部これらの粒子が魂状となって、100〜200nmの粒子を形成していた。テクネガス発生装置内の炭素るつぼに、 ^<99m>Tc-パーテクネテート溶液(300MBq/0.1ml)を入れ「るつぼ」を高熱で昇華することにより、微細炭素粒子を作成、これに ^<99m>Tc-が標識される。テクネガス生成後、粒子は次第に沈澱するので10分以内に吸入することが望ましい。血液中放射能は吸入後2時間において、吸入量の0.2%/1血液、尿中放射能は、24時間後においても4.96%であった。肺におけるテクネガスの生物学的半減期は135時間で肺のイメージは、24時間後においても安定していた。肺の被曝量は0.04Gy/37MBqであった。肺疾患例におけるテクネガスの分布は ^<81m>Kr分布に類似していたが、閉塞性病変の強い症例では、中枢気道に過剰に沈着し、スポット形成がみられた。しかし、未梢気道にも分布しており、換気分布の評価は可能であった。
著者
森 豊彦
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.701, 2005

中米ホンデュラスの標高約1600mから2300mの山地において、ガジナコガネ<i>Phyllophaga obsoleta</i>(甲虫目コガネムシ科)の生活史、食性、行動、発生消長等を2000年4月から10月までの間に調査した。生息地の優占植生は松と広葉樹の混交林であった。主な土地利用形態は野菜栽培、トウモロコシ栽培、ジャガイモ栽培、果樹、コーヒー栽培、牧場であった。生活史において、成虫の出現期間と産卵期間は4月上旬から7月上旬、幼虫期間は4月から12月、蛹化期間は12月から4月までと推定された。産卵は土中へ行われ、孵化から幼虫、蛹、羽化までも土中で行われた。卵から成虫までの発育期間は1年であると推定された。幼虫の食性において、1令幼虫は主に土壌中の有機物を摂食し、2令と3令幼虫は有機物だけでなく、多様な草本植物、野菜、作物、牧草、コーヒー樹等の根を摂食した。一方、成虫の食性では、室内実験と野外調査の結果、コナラ属の樹木、特に落葉広葉樹のコナラ類の葉や低木果樹のモラ(バラ科)の葉をより好んで摂食した。しかし、成虫は果樹のリンゴ類、モモ類、アボガド類の葉への摂食は比較的少なく、柑橘類の葉の摂食は見られなかった。成虫は夜間に活動し、灯火に飛来した。交尾行動は5月において、午後7時頃から午後9時頃に観察された。日中、成虫は土中や落葉下に潜入して活動を休止した。成虫の発生消長において、雨期が始まる4月上旬からはじまり、5月中旬から下旬にかけて出現数が最大になり、6月下旬から7月上旬に終息した。土中で羽化した成虫が地上へ出現する引き金は、乾期から雨期に変わり、降雨量が10mm前後の日が数日間続くことであると考えられた。成虫は野菜、作物の害虫として大発生し、街灯がある村全域に大量に飛来した。
著者
卓 興鋼 吉田 佳督 大森 豊緑
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-266, 2011
被引用文献数
16

近年,わが国においてもエビデンスに基づく医療(EBM)の提供が求められており,その根拠となる学術論文のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの重要性は,ますます高まっている。システマティックレビュー報告は,疾病の診断および予後,予防対策などに広く活用されている。これまでいくつかの研究でシステマティックレビュー報告の質が評価された結果,報告の質は全体的に不十分であった。1996年,メタアナリシス報告の質を向上させるために,国際研究グループが「QUOROM(メタアナリシス報告の質)声明」という指針(guidance)を作成した。さらに,QUOROMの項目等について検討してきた運営委員会は,2009年6月,その改訂版を作成し,「PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明」と名づけた。このPRISMA声明では,システマティックレビューの概念および実践面におけるいくつかの発展が見られる。本稿では,著者らがこれまでシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行ってきた経験を踏まえ,PRISMA声明の概要と展望について概説する。
著者
保野 健治郎 難波 義郎 大森 豊裕 北条 康正
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
vol.422, pp.135-143, 1991
被引用文献数
2 1

Recent buildings have been more unburnable than before because changing of construction methods, progress of building materials, preparation of the related laws and regulations and so forth. But buildings have been more unextinguishable contradictory, and extinguish time need more longer than before. There are problems ; Is not the water application ratio low ? How much is the water damage area even if the water is used for extinguishing ? If we survey these problems, it is useful in order to make fire fighting planning. Then we investigated these items as a part of basic study on the extinguishing of the building fire.
著者
金森 豊
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.923-928, 2010 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

我々はプロバイオティクスとプレバイオティクスを併用するシンバイオティクス療法を1997年から重症小児外科疾患患児に応用してきた。これは、Bifidobacterium breve Yakult 株とLactobacillus casei Shirota 株の二種類のプロバイオティクスとガラクトオリゴ糖を用いる方法で、この治療により異常な腸内細菌叢を有した患児の腸内細菌叢を改善し、腸炎の頻度を低下させて患児の栄養状態を改善することが可能であった。最近では、重症患児において早期から上記二種類のプロバイオティクスと母乳を併用する予防的シンバイオティクス療法をおこなって、患児の腸内細菌叢をいち早く正常に誘導し、成長を促す試みをおこない、良好な結果を得ている。本稿では、予防的プロバイオティクス療法の実際を症例で提示し、その効果をもたらす理論的背景について解説する。