著者
村松 妙子 片山 はるみ
出版者
日本看護倫理学会
雑誌
日本看護倫理学会誌 (ISSN:24347361)
巻号頁・発行日
pp.19015, (Released:2020-09-10)
参考文献数
32

本研究の目的は、看護学生の倫理的感受性質問票(ESQ-NS)と道徳的感受性テスト(MST)の比較によって、ESQ-NSの有用性を検討することである。平成27年4月から平成30年11月までの4年間の縦断調査を行った。反復測定による一元配置分散分析の結果、ESQ-NSの合計得点および、3つの下位因子中2因子「患者の意思尊重」(pp<0.001)で有意差を認め、1年生に比べ他のすべての学年で平均値が高くなっていた。また、相関分析の結果、ESQ-NSとMSTの一部の下位尺度は有意な相関を示したことから、2つの尺度は類似した概念を測定しつつも、異なるものであることが示唆された。ESQ-NSは学年と有意に関連があり、高学年の学生は1年生に比べ高い倫理的感受性を示していることから、看護基礎教育の中で育成され向上していくと考えられている、学生の倫理的感受性を測定するツールとしての有用性を示したと考える。