著者
青木 好美 片山 はるみ
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.55-64, 2017 (Released:2017-10-07)
参考文献数
31
被引用文献数
4

目的:希死念慮を持っている可能性がある自殺未遂患者にケアを提供する救急業務に従事する看護師の現状を明らかにすることを目的とした.方法:全国の救命救急センターのうち32施設に勤務する看護師764名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した.結果:有効回答者は302名であり,そのうち206名(68.2%)の看護師が希死念慮を確認した経験があった.197名の看護師から得られた自由記述を質的記述的分析したところ,「希死念慮を確認することに支障となること」の設問に対する記述から【自殺未遂患者に対するケアについての知識不足・能力不足】【再自殺・自傷への心配や懸念】【確認しにくい環境】【患者の身体的・精神的問題】という4つのカテゴリが抽出された.結論:救急業務に従事する看護師が自殺未遂患者に対してケア遂行を促進するためには,看護師の知識の向上,ケアするための環境調整,看護師のサポートの充実の3点が必要であることが明らかになった.
著者
青木 好美 片山 はるみ
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.255-262, 2016 (Released:2017-03-27)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

目的:本研究の目的は,日本語版自傷行為に対する反感の態度尺度(SHAS-J)の信頼性と妥当性を検討することであった.方法:全国の救命救急センターに勤務する看護師764名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施し,302名(39.5%)の有効回答を分析対象とした.質問紙は,対象者の基本情報,SHAS-J,看護師の感情労働尺度,共感的コーピング尺度を用いた.分析は,探索的因子分析,確認的因子分析,相関分析を行った.結果:探索的因子分析の結果,SHAS-Jは4因子から構成されていた.4因子は「共感的実践力の低さ」,「ケアの反感」,「積極的理解の欠如」,「権利と責任に関する無知」であった.4因子についてCronbach α係数は0.83~0.54であった.併存妥当性の基準とした共感的コーピング尺度および看護師の感情労働尺度とは有意な相関が認められた.結論:SHAS-Jは,Cronbach α係数により信頼性が概ね確認された.また,共感的コーピング尺度や看護師の感情労働尺度との関連により妥当性が概ね確認された.
著者
村松 妙子 片山 はるみ
出版者
日本看護倫理学会
雑誌
日本看護倫理学会誌 (ISSN:24347361)
巻号頁・発行日
pp.19015, (Released:2020-09-10)
参考文献数
32

本研究の目的は、看護学生の倫理的感受性質問票(ESQ-NS)と道徳的感受性テスト(MST)の比較によって、ESQ-NSの有用性を検討することである。平成27年4月から平成30年11月までの4年間の縦断調査を行った。反復測定による一元配置分散分析の結果、ESQ-NSの合計得点および、3つの下位因子中2因子「患者の意思尊重」(pp<0.001)で有意差を認め、1年生に比べ他のすべての学年で平均値が高くなっていた。また、相関分析の結果、ESQ-NSとMSTの一部の下位尺度は有意な相関を示したことから、2つの尺度は類似した概念を測定しつつも、異なるものであることが示唆された。ESQ-NSは学年と有意に関連があり、高学年の学生は1年生に比べ高い倫理的感受性を示していることから、看護基礎教育の中で育成され向上していくと考えられている、学生の倫理的感受性を測定するツールとしての有用性を示したと考える。
著者
横山 ハツミ 林 慎一郎 田中 秀樹 山崎 登志子 西川 まり子 白木 智子 糠信 憲明 廣川 聖子 片山 はるみ 矢田 幸博 吉田 伊織
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

看護学生の老化の理解に役立つエイジングメイクの技法(メイク道具と手順)と教材(DVDとライフイベントCAIゲーム)を開発した。この教材を用いた演習により、学生が老ける、衰退するなどの加齢のプロセスを体験することで、いずれ訪れる老いを偏見なく受容することができる。高齢者のフィジカル・メンタルの両側面から理解が深められ、高齢社会の主人公である高齢者ケアニーズの核心に迫る、主体的な学習教材として役立つ。