- 著者
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村田 尚寛
- 出版者
- 日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- 雑誌
- 理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
- 巻号頁・発行日
- pp.G-88_1, 2019 (Released:2019-08-20)
【はじめに・目的】 地域包括ケア病棟における機能としてポストアキュート、サブアキュートがある。現在、ポストアキュート、サブアキュートそれぞれの身体機能や在宅復帰における傾向を述べた文献は少ない。そこで当院の地域包括ケア病棟におけるポストアキュート、サブアキュートそれぞれの身体機能、在宅復帰についての傾向を明らかにする。【方法】 対象は平成29年10月から平成30年3月に当院入院した疾患別リハビリテーションの処方があった死亡退院を除くポストアキュート群121名、サブアキュート群64名とした。処方率は85.9%であった。今回この2群それぞれの入院時と退院時のFunction Independence Measure(FIM)の比較、そしてポストアキュート群、サブアキュート群2群間の年齢、入院時退院時それぞれのFIMとFIM利得、FIM効率、在院日数を比較した。統計はT検定、X2検定を用いて有意水準を5%未満とした。【結果】 まずポストアキュート、サブアキュートのそれぞれの入院時退院時のFIMの比較ではどちらも入院時より退院時の方がFIMは高い値を示しており有意差が認められた。 次にポストアキュートとサブアキュート2群間の比較では入院時FIMがポストアキュート群67.7±30.8、サブアキュート群58.4±30.4とポストアキュート群が高い値であり有意差が認められた。一方で在院日数、在宅復帰率はポストアキュート群38.8±30.7日、63.6%、サブアキュート群29.1±15.9日、78.1%とサブアキュート群の方が在院日数は短く、在宅復帰率は高く有意差が認められた。その他の項目では有意差は認められなかった。 また在宅復帰患者に限定したFIMにおいても退院時FIMがポストアキュート87.7±32.8、サブアキュート73.6±35.7と有意差が見られた。【結論】 地域包括ケア病棟の入院患者に関しては一様にリハビリテーションの介入により身体機能の向上が図れることが示唆された。ポストアキュートの方が入院時退院時ともにFIMは高い一方で在院日数や在宅復帰率はサブアキュートより低値であり在宅復帰が困難となる事例が多い事がわかった。これは他医療機関で身体機能の向上が図れているものの全身状態とは別の要因が大きく影響していることが考えられ、家屋環境や社会的背景にて在宅復帰困難となる事例が多い。一方でサブアキュートでは元々介護保険サービスの利用といった社会的資源を活用されている事例が多くFIMが低値であっても一定の身体機能に達することにより在宅への意志が強く早期在宅復帰となる事例が多いと思われる。 ポストアキュートの患者は早期に自宅環境、社会的要因の確認を行い在宅復帰に向けた多職種、地域との連携がサブアキュートより必要である可能性が示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した。