著者
村野 良太 佐藤 健 友野 貴之 加藤 麻樹
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.103-112, 2023-06-15 (Released:2023-06-21)
参考文献数
38

本研究は靴紐の締め方の強弱(tightness)が歩行動作に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験参加者は男性9名(22.8±1.2歳),女性9名(21.9±1.8歳)とし,歩行課題(自然歩行,努力歩行)と靴紐の締め方の強弱(fit条件,loose条件)を操作した歩行実験を行った.Kinect v2を用いた歩行姿勢測定システムで歩行速度,歩幅,歩隔を,体幹2点歩行動揺計で歩行周期時間,胸椎背部(以下,Th6)および仙骨付近(以下,S2)における3方向(左右,上下,前後)の平均動揺量とHarmonic Ratio(以下,HR)を計測,算出した.すべての分析項目を用いて対応のある二元配置多変量分散分析を実施した結果,歩行課題と靴紐条件について主効果が認められた.loose条件ではfit条件よりも,歩行速度,S2の上下動揺量,Th6の上下方向のHRは有意に小さく,Th6の左右動揺量,S2の前後動揺量は有意に大きかった.本研究より,靴紐の締め方が緩い(loose条件)と歩行中の体幹の動きに影響を与えることが示された.