著者
東 伸昭 入村 達郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

化学物質、放射線等の外界からの多様な刺激に応じて、体内では免疫細胞の脱顆粒、細胞交通の変化など様々な応答が生じる。この変化において、組織間の仕切りや顆粒内構造を形成するマトリクス分子とその複合体の性状は大きく変化すると考えられる。本研究では、細胞外マトリクス改変酵素としてのヘパラナーゼに着目し、その発現、局在と活性調節、酵素切断依存的な細胞応答の変化などについて3点に焦点を絞り検討した。1.ヘパラナーゼを検出するための抗体の調製とその性状解析疾患モデル動物のマウスに発現する内因性ヘパラナーゼ発現を検出するためのツールとして、16種類の抗ヘパラナーゼモノクローナル抗体を新規に確立した。その結合様式を解明するとともに、新規sandwich ELISAの系を含む複数の検出系を確立した。2.マスト細胞におけるヘパラナーゼの発現とその機能解析結合組織型マスト細胞にヘパラナーゼが高発現することを見出した。この細胞が顆粒内に蓄積するヘパリンがヘパラナーゼによって低分子化されることを見出した。この切断の結果としてヘパリンの細胞内外での動態が変化すること、さらにマスト細胞顆粒内のエフェクター分子の活性が転写非依存的に調節される可能性を見出した。3.好中球におけるヘパラナーゼの発現とその機能解析骨髄、末梢血、末梢組織など様々な部位に分布する好中球についてヘパラナーゼの発現分布を検討した。この結果、ヘパラナーゼが多数を形成する亜集団に分化依存的に発現することを見出した。また、基底膜浸潤におけるこの酵素の寄与を示した。マトリクス分解を司る酵素を発現する亜集団、しない亜集団の存在が予想された。