著者
福田 ゆり 東 光邦
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.324-329, 2014

目的:日帰りや短期入院下での痔核手術が年々増加している.その一方,術後疼痛に悩む患者は多く,現状の疼痛緩和は充分でない.芍薬甘草湯の幅広い鎮痛効果は以前より知られ,痔核手術後の使用で効果が報告されているが,われわれは術前からの芍薬甘草湯投与でより有効性を認めたため報告する.対象と方法:手術を行う患者を無作為に芍薬甘草湯未使用群,術後投与群,術前術後投与群に分け,術後7日間の疼痛スケール(VAS)を比較した.結果:術前術後投与群は手術当日をはじめ,手術翌日を除く6日間において未使用群と比較し有意差をもって疼痛緩和を認めた.また,術前術後投与群は手術当日における若年者のVASが未使用群のみならず術後投与群と比較しても有意差をもって低下した.疼痛緩和までの期間も術前術後投与群は未使用群より有意に短縮した.結語:痔核術後の鎮痛法として術前からの芍薬甘草湯投与は容易で効果に優れ,今後広く勧められる方法と考えられた.