著者
岩佐 真人 松村 雅示 東 禺彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.738-748, 1990 (Released:2010-08-25)
参考文献数
36

Stevens-Johnson症候群 (SJS) は, 多型浸出性紅斑の重症水疱形成型を総称し口腔粘膜, 外陰部, 眼粘膜を同時に侵す。SJSの原因として, 薬剤性と非薬剤性の2つに大きく分けられる。薬剤性の原因としては, 抗生物質, 抗精神薬をはじめいろいろな薬剤の報告が多く認められ, また, 非薬剤性の原因としては, ウイルス, 細菌, 真菌, 食物, 膠原病, 接触アレルギーなどが認められている。今回我々は, 感冒様症状に次いで眼症状もしくは, 口腔粘膜症状で初発し, 次いで皮膚に多型紅斑を生じた7症例を経験した。7症例中6例に被疑薬剤による内服試験を施行したが, 全て陰性だった。大多数の症例で, 寒冷凝集反応 (CHA) の上昇を認め, さらにMycoplasma抗体価の上昇も認められ, 肺炎マイコプラズマによるSJSと診断された。治療として, ステロイドの全身投与と, 主にマクロライド系の抗生物質を用いて全例治癒した。自験例7例の供覧とともに, SJSの発生機序につき文献的考察を加えた。