著者
足立 準 毛利 有希 庄田 裕紀子 羽白 誠
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.148-152, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
22

27歳, 男性。数年前より治療を拒否して自宅にひきこもり, 重症化したアトピー性皮膚炎患者に, 感染性心内膜炎, さらに播種性血管内凝固 (DIC) をきたし, 死亡に至った症例を経験した。皮膚, 血液培養より黄色ブドウ球菌 (MSSA) が検出され, 皮膚よりの細菌侵入が考えられた。感染性心内膜炎に伴う皮疹として, 手指, 足底に点状出血斑, 爪甲下の出血斑が認められた。
著者
飯田 利博 森 弥生 西山 千秋
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.76-79, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6

症例は26歳, 男。水族館職員。右第5指基節背面に淡紅色結節 (16×14mm) が単発した。病理組織学的に真皮浅層に肉芽腫性細胞浸潤をみとめ, 病巣よりM.marcnumを分離した。オフロキサシン内服と温熱療法にて治癒し, 治療中止12カ月後も再発を見ない。感染源の検索のため水族館施設を調査したところ, 主に濾過水槽内の濾過砂から同菌を分離した。感染予防に綿製手袋の使用と, 作業後5分間の手, 前腕の温浴 (42℃-45℃) が有効と考えた。
著者
東 禹彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-34, 1985 (Released:2010-08-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

匙状爪がどのようにして生じるかについて仮説を述べた。指, 趾末節部で屈側に作用する外力を支えるのは末節骨と爪甲である。末節骨の存在しない部では, 指, 趾末節部屈側に作用する外力は軟部組織を介して, 爪甲に直接作用することになる。爪甲の支持する力よりも外力が強ければ, 爪甲はしだいに扁平化し, ついで匙状化すると考えられる。菲薄化した爪甲や柔かい爪甲では弱い外力の作用でも匙状化するので, それらにおいては匙状爪の発生頻度は高くなる。

20 0 0 0 OA BCG誤接種の6例

著者
平井 佐代子 野並 京子 島 正幸 大野 治彦 福本 隆也 白井 利彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.217-221, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

ツベルクリン反応液と誤ってBCG液の接種を受けた6例を報告した。通常の約24倍量のBCG液を皮内注射されたため, 同部に皮膚潰瘍を形成した。結核に準じINHとRFPを半年間投与し, 全身性感染をきたすことなく創部は3カ月-6カ月で治癒した。発熱を認めたのは6例中5例で, いずれも誤接種1カ月後に出現した。リンパ節腫大は6例中3例で触知したが明らかなものではなかった。胸部レントゲン写真で異常を認めたのは1例 (右肺門気管支陰影の増強) のみであった。
著者
須貝 哲郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.310-317, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

酢酸デキサメタゾン0.025%を主薬とするS-3470軟膏 (シオノギD軟膏®) の治験をアトピー性皮膚炎13例を含む湿疹皮膚炎群26例と虫刺症20例の計46例において試み, 全例に副作用を認めず, 前者で92.3%, 後者で90.0%の高い有用率をえた。
著者
高橋 邦明 石井 正光 浅井 芳江 濱田 稔夫 山本 巌
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.1166-1173, 1984 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

種々の西洋医学的治療に抵抗した, 比較的病歴の長い難治性の乾癬患者33例 (尋常性乾癬26例, 乾癬性紅皮症2例, 関節症性乾癬2例) に対し, 乾癬の病態を, 表皮turn overの亢進に基づく慢性増殖性炎症, すなわち於血を基本とした慢性炎症と考え, 駆於血剤である桂枝茯苓丸 (便秘傾向の強い場合には大黄牡丹皮湯) に慢性炎症を抑制する温清飲を合方して長期間投与した結果, 著効16例 (49%), 有効10例 (30%), 無効7例 (21%), 悪化0で, 有効率79%と非常に優れた効果を認めた。副作用もみられず, 今後乾癬の治療法の1つとして極めて有用性が高いと考えられる。
著者
斎藤 文雄 松岡 芳隆
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.578-584, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15

主抗原としてalkane-α, β-diols, alkane-α, diolsを含有する水添 (還元) ラノリン (HL) 過敏者はエタノール, メタノール, 2-プロパノールと高率に交差することを既に報告した。エタノール接触アレルギーの17例を経験し, アルコール類, ラノリン誘導体間の交差感作について検索した。エタノール過敏者の主要原因物質は化粧水 (7例), アルコール飲料 (4例), 化粧水とアルコール飲料1例, 抗真菌剤2例, 抗化膿剤2例, 制汗剤, 防臭剤各1例であった。エタノール過敏者17例中9例はメタノールに, 6例は2-プロパノール, 5例はHL, ウールアルコール (WA) に, 2例はラノリンにそれぞれ交差反応を示した。化粧水, エタノール, アルコール飲料過敏者においてアルコール類とラノリン誘導体間の交差感作を調べた。1例はn-ブチルアルコール, n-アミルアルコール, HL, WAに, 他の1例はシンナミックアルコール, シンナミックアルデハイド, ラノリン, HL, WAにそれぞれ交差反応を示した。また2例はアルコール飲料の摂取により汎発性の発疹を生じた。
著者
東 禹彦 久米 昭廣 谷口 龍生 箕田 朋子 荻原 俊治
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4-5, pp.213-217, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ベンゾジアゼピン系薬物を長期連用している間に, 激しい痒みを生じ皮膚に掻爬痕を多発した症例を3例経験した。原因となった薬物はクロルヂアゼポキシドが2例, ジアゼパムが1例であった。3例ともこれら薬剤を中止することにより痒みは消失した。2例では再投与により激しい痒みが再現した。原因薬物がベンゾジアゼピン系薬物に限られ, 好酸球増加もなく, 発疹もなく掻爬痕のみなので, 癌痒の原因は中枢性の可能性もある。発疹を伴わない皮膚掻痒症型薬疹と診断した。ベンゾジアゼピン系薬物が連用される疾患は神経症や心気症, ヒステリーなどであることを考えると, 本剤による皮膚癌痒症は見逃されている可能性もあろう。
著者
ヨクイニンエキス散研究班
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.762-773, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

ヨクイニンエキス散の伝染性軟属腫に対する有用性を検討するため, placeboを対照とし, 二重盲検群間比較試験を実施した。試験期間は12週で, 体重30kg未満は6g/1日, 体重30kg以上は12g/1日を連日経口投与した。有用度および試験開始後4週時の結節残存率において本剤はPlaceboに比し優れる傾向であった。層別解析の結果では, 男児で有意に優れ, さらにアトピー性皮膚炎合併群では優れる傾向が見られた。副作用はヨクイニンエキス散で2例, Placeboで1例を認めたがいずれも軽微であった。以上より, ヨクイニンエキス散は伝染性軟属腫に対し安全かつ有用な薬剤であると結論した。
著者
田中 歓子 園田 優子 津田 道夫 谷村 保夫 遠藤 秀彦 相模 成一郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.84-92, 1982 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

トプシムスプレーの有用性を検討する目的で尋常性乾癬, 湿疹・皮膚炎群など34例につきフルコートスプレーを対照とする二重盲検試験を行なった.その結果, 治療前と比較した全般改善度では治療1週後で, 各評価日における薬剤間の優劣比較では治療1週後および2週後で, また有用性の評価でも両剤間に有意差が認められいずれもトプシムスプレーがフルコートスプレーに比し優れていた. この事から, トプシムスプレーは有効性および有用性がフルコートスプレーより優れ, その治療効果の発現は速やかで広範囲の皮疹や被髪部位の病巣の治療に適した薬剤と考えられた.
著者
東 禹彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.859-865, 1984 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

プロピレングリコールによるアレルギー性接触皮膚炎3例と刺激性皮膚炎3例を報告した。刺激性皮膚炎は経験した症例のうち代表的なものとして, 外用剤によるものと化粧品によるものと各1例の急性型と外用剤による累積刺激型1例を報告した。プロピレグリコールによる接触皮膚炎がアレルギー性のものか刺激性のものかは貼布試験の結果からだけでは単純に決定し難く, 臨床像, 臨床経過も参考にしなければならない。プロピレングリコールによるアレルギー性接触皮膚炎の治療に当っては, プロピレングリコールが外用剤, 香粧品, 食品などに広く用いられているので, 患者に対する指導がきわめて大切である。
著者
篠 力 伊藤 信一
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.309-318, 1979 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9

非炎症性疾患の正常部位に2, 3の界面活性剤を生検, 切除前にclosed patch testを行い, 組織学的観察を行った。アニオン活性剤ラウリル硫酸ナトリウムはその強い角層親和性により, 低濃度では表皮, 真皮への影響は少いが, 5%の高濃度では細胞障害がおこる。ポリペプタイドヤシ脂肪酸力リウムは高濃度でも皮膚に影響がない。カチオン活性剤ベンザルコニウムクロライドは強い障害を皮膚にあたえる。非イオン活性剤ポリオキシエチレンラウリルエーテルは表皮細胞の障害は少いが, 真皮の血管に影響があり, その強い滲透性を暗示する。両性活性剤2ウンデシル1-ハイドロキシエチルイミダゾリンベタインは表皮表層に極めて軽度の影響をみるが, 炎症反応は見られなかった。以上反応にニュアンスの違いはあるが, いづれも一次刺激反応のカテゴリーに入るものであった。
著者
尾沢 達也 西山 聖二 堀井 和泉 川崎 清 熊野 可丸 中山 靖久
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.276-288, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
3

皮膚保湿に於ける保湿剤の役割について, In Vitro, in Vivoでの検討を行なった。モルモットの角質層を用いた力学的検討の結果及びヒト皮膚を用いたIn Vivoの物理化学的, 生物化学的検討の結果, 次のことが知られた。(1) 皮膚保湿にとって水-保湿剤-油及びそのバランスは極めて重要であり3者は相乗的に機能を発揮する。(2) 保湿剤は皮膚保湿に重要な役割を演じており, 特に高分子系の保湿剤 (ヒアルロン酸などのムコ多糖類) と比較的低分子系の保湿剤 (グリセリン等のポリオール類やピロリドンカルボン酸などのNMF成分) の組合わせが, 相乗的に好結果を与える。(3) 理想的な組み合わせの皮膚保湿製剤は単なる物理化学的変化に止まらず, 皮膚に生物化学的変化をもたらすことを認めた。皮膚保湿製剤のモデルは皮膚保湿機構にあると解釈された。
著者
清島 真理子 森 俊二 大谷 道広
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.711-715, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15

64歳男性に発症した第二期梅毒の1例を報告した。初診の約5ヵ月前より, 両側上腕に米粒大-半米粒大の紅色丘疹が出現し, その後, 両前腕, 体幹にも同様の皮疹が出現した。掻痒はない。初診時にTPHA81, 920倍, ガラス板法128倍, 緒方法640倍, TPHA-IgM 2倍であったため, 第二期梅毒と診断した。ベンジルペニシリンベンザチン (PCG) 160万単位/日内服投与 (1日4回) を開始したところ, 約3週間で皮疹は消失したが, 5週間経過した後も, TPHA-IgM, TPHA, STSは低下傾向を示さなかった。そこで, プロベネシド1g/日内服を併用したところ, 1週後にはTPHA-IgMは陰性化し, TPHAは20, 480倍, 緒方法は320倍と低下した。
著者
安野 洋一 堀江 順子 宮下 文 山田 一雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.679-683, 1983 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

白髪染による接触皮膚炎を繰り返すうちに, 次第に前額部, 頸部, 前胸部などに紫褐色, 網状の色素沈着を来たした70歳の女性例を報告した。組織学的に苔癬型反応を認め, lichenoidtypeのpigmentedcontact dematitisと診断したが, パッチテストは多くのリール黒皮症患者で陽性反応が認められる頬紅中の赤色219号 (R-219) やSudan I (1-phenylazo-2-naphthol;PAN) などでは陰性であり, p-phenylenediamine (PPD) などの染毛剤のみが陽性を示した。また着用時に掻痒の訴えがあった衣類とその関連物質のパッチテストも同時に施行したが, 明かな陽性所見は得られず, 本例は白髪染に含まれるPPDに起因するものと考えた。
著者
荻堂 優子 山田 徹太郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.345-350, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
16

消炎鎮痛外用剤中に含まれるクロタミトンによるアレルギー性接触皮膚炎の3例を報告した。症例1は79歳の男性で, モーラス®を貼付し紅斑が出現した。48時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と10%クロタミトンに陽性だった。症例2は48歳の女性で, 経皮消炎鎮痛剤を貼付し, 紅斑が出現した。24時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と0.5%クロタミトンに陽性を示した。症例3は39歳の女性で, セルタッチ®を貼付し, 紅斑が出現した。24時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と0.5%クロタミトンに陽性を示した。3症例ともクロタミトンを含んでいない経皮消炎鎮痛剤では貼布試験は全て陰性だった。
著者
久保 容二郎 野中 薫雄 吉田 彦太郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.523-526, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

すでに, ゴマ油によるアレルギー性接触皮膚炎の1例を「紫雲膏に含まれるゴマ油による接触皮膚炎」として報告したが, その症例につき, 抗原の解析を試みた。ゴマ油皮膚炎の抗原としては従来その不鹸化物sesamin, sesamolin, sesamolなどが考えられてきた。今回, それらを各々1%含有する白色ワセリン基剤の検体を作製し貼布試験を行ったところ, se8aminとsesamolinの両者に陽性を認めたが, sesamolには陰性であった。それらの結果について考察を加えた。