著者
東山 雅一 平田 昌彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.104-113, 1995
参考文献数
35
被引用文献数
7

バヒアグラス放牧草地を利用した黒毛和種育成牛飼養システムにおいて,家畜生産に影響を及ぼすと考えられる様々な要因(気象,補助飼料,草地植生,家畜生体重,草地/家畜バランス,放牧行動,模擬採食草に関する要因)の変動を3年にわたり調査した。そして,各要因の変動範囲や年,季節および1つのパドックにおける放牧経過日数に対する反応などについて検討することにより,対象システムの特徴の一端を明らかにした。さらに,要因の変動の機作を理解し,システムの特徴を明らかにするうえでの要因間の関係の解析の重要性について指摘した。
著者
東山 雅一 下田 勝久 池田 堅太郎
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.215-220, 2013-01-15

北上山地の高標高地域に位置し,利用休止後,再放牧されたスゲとシバが混在する半自然草地において,樹木の侵入と定着に対する放牧の抑制効果を明らかにするために,樹木の当年生実生の動態を2003-2010年に調査した。実生数の上位3樹種,ダケカンバ,ハウチワカエデおよびイタヤカエデを対象として,当年生実生数,生存率および樹高を放牧区と禁牧区とで比較した。放牧は,草地の立枯れと草本の草高を低くした。その結果,放牧は,ダケカンバの当年生実生数を増加させ,両カエデ種を減少させた。そして,放牧は3種の当年生実生の翌年以降の死亡率を高くし,生存個体の樹高を低くすることが明らかとなった。以上から,北上山地の高標高地域の半自然草地では,放牧は,樹木の個体数増加と生長を抑制し,植生遷移の進行を遅らせると考えられる。