著者
中村 智久 東川 淳紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.473-478, 2006-05-15
参考文献数
5
被引用文献数
9

コンピュータ環境が社会全体に広まるにつれ,コンピュータのセキュリティ対策が不可欠となっている.特に,2005年4月に施行された個人情報保護法や2008年からの施行が検討されている日本版SOX法(サーベンス・オクスリー法)を受けて,情報管理に関する社会の関心は高まる一方である.確実に情報を管理することをひとつの目的として,PCにセキュリティチップを搭載する動きが加速しつつある.セキュリティチップを搭載したPCは,PC内部に耐タンパ領域を生成することができ,暗号化やハッシュ値生成,乱数生成などの演算を安全に行うことができる.また,秘密鍵や機密データなどを安全に格納することができる.このような機能を持つセキュリティチップ搭載PCは,今後,社会全体に急速に普及すると予想されている.本稿では,PC搭載セキュリティチップであるTPM(Trusted Platform Module)の概要や基本機能,その活用方法,最新動向,将来の課題について解説する.