著者
奥村 正敏 東田 修司 山神 正弘 下野 勝昭
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.274-281, 1994-06-05

インゲン連作土壌を充填したポット条件下で.52作物種の作付が後作インゲンの根腐病発生におよぼす影響を検討し,以下の結果を得た.1)野菜,緑肥,ハープ,花き等の作物種を栽培後,作物体を搬出した処理では,全作物種が根褐変を抑制した.根褐変指数の低下率が20%以下にとどまったのは供試作物全体の約44%であり,これらの根腐病抑制効果は小さいと考えられ,21〜30%の低下率を示した作物種は,ニンジン,ナガネギ,ハツカダイコン,マリーゴールドなど全体の33%,低下率が31%以上で大きい抑制効果を示した作物種は,ニラ,チンゲンサイ,ペルコ,アルファルファ,スペアミント,コカブなど全体の23%であった.抑制効果の科間差は認められなかった.2)インゲン根腐病に対する抑制効果と緑肥類を除く作物根のメタノールの抽出物の病原菌(F. solaniとF.oxysporum)に対する抗菌活性との間には,ミツバ,ニンジン,シュンギク,ニラなど数種の作物で正の対応関係が存在したが,全体的にみると,両者の間には一定の対応関係が認められなかった.3)緑肥類10種については,作物体の搬出処理のほかにすき込み処理も設けた.その結果,アルファルファ,ペルコ,マリーゴールドではいずれの処理系列でもインゲン根腐病に対する抑制効果が大きかった.搬出処理に比べてすき込み処理で効果が大きい作物はアカクローバ,トウモロコシ,ソルゴーであった.他の作物でもすき込みによって効果が高まったが,その程度は小さかった.なおインゲンの残渣物すき込み処理でも抑制効果が認められた.4)インゲン根腐病を抑制した緑肥作物種のなかでは,病原菌に対する抗菌活性が(1)アカクローバ,アルファルファのように強いもの,(2)マリーゴールド,レバナ,エンバクのように中庸なもの,(3)トウモロコシ,ペルコ,ソルゴーのように弱いものに分類された.