著者
東藤 義公
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.365-378, 1989

ペインクリニック外来へ訪れる疼痛患者で, 疼痛の原因が末梢血流障害であるものは全体の18.4%であった。このように, 末梢血流障害はペインクリニック外来では重要な位置を占めている。末梢血流障害を主病変とする疾患の症状, 診断および治療について自験例を紹介しながら説明を加えた。診断法では, 視診, 触診, 脈波, 体温, 血流量測定, 形態学的検査について述べた。疾患の種類では, 閉塞性動脈硬化症, バージャー病, 急性動脈閉塞症, レイノー病, 静脈疾患, 反射性交感神経性萎縮症について述べた。治療法では, ブロスタグランディン, 硬膜外ブロック, 星状神経節ブロック, 腰部交感神経節ブロック, グアネチジンブロック, 脊髄通電療法についてそれぞれ述べた。このうち, 反射性交感神経性萎縮症は原因不明の疼痛として放置されていることもあり, 重症化すると治療に抵抗することが多い。他の疾患と同様に, 末梢血流障害も早期発見と早期治療が大切である。