著者
竹迫 賢一 川平 和美 日吉 俊紀 川津 学 上土橋 浩 東郷 伸一 田中 信行
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.173-177, 1994-03-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
13

脳卒中患者の感情失禁に対する新しい治療法として感情失禁を有する脳卒中患者23例に種々のβ-遮断薬を試み,著明改善26.1%,改善26.1%,やや改善13.0%(なんらかの改善65.2%)が得られた.その効果は性,年齢,病巣部位による差はなかった.血液脳関門通過性やβ1,2-受容体選択性の異なるプロプラノロールとアテノロールは同程度の効果を示し,ラベタロール,メトプロロールでも各1例の改善がみられたことから,その効果はβ1-作動系の遮断を介するもので,血液脳関門の破綻も推測された.またβ-遮断薬で改善を認めた6例で薬剤を中止したところ,5例はほぼ1週間以内に感情失禁の悪化を認めた.以上の結果から,β-遮断薬は感情失禁に対し明らかに有用な薬剤と思われた.
著者
川平 和美 東郷 伸一 田中 信行
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.737-746, 1992-09-18
被引用文献数
1 1

リハビリテーション施設職員259名と学生119名に障害者の性に関するアンケート調査を行った.1)職員の障害者の性に関する知識と認識を,全体で比較すると,男女とも,専門教育を受けている職種,若年者,未婚者が,そうでない者より高かった.2)女性職員の性知識と認識に関連する要因を分散分析を用いて検討した.職種と年齢は関連したが,結婚の有無,勤務年数は関連がなかった.3)性知識と認識は正相関した(学生を含めた対象全体:Y=2.55+0.27X, r=0.42, P<0.01, 女性職員:Y=1.90+0.36X, r=0.52, P<0.01, 男性職員:Y=2.79+0.24X, r=0・30, NS).つまり,性知識が高まるほど障害者の性への認識が高まり,女性は男性よりこの傾向があきらかだった.4)性に関する研修は,職員の半数も受けておらず,研修の機会は充分でなかった.