- 著者
-
竹迫 賢一
日吉 俊紀
- 出版者
- The Japan Society for Oriental Medicine
- 雑誌
- 日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1, pp.31-35, 1993-07-20 (Released:2010-03-12)
- 参考文献数
- 23
いびきのひどい12例 (脳卒中7例を含む, 平均53.3歳, 男10, 女2例) に対するツムラ柴胡桂枝湯エキス剤7.5g/日の治療効果を検討した。効果判定は第三者の観察によるが, 2週間後にはほぼ消失2例 (17%), 半減4例 (33%), やや改善5例 (42%), 変化なし1例 (8%)と, ほとんどの症例に効果が認められた。また効果発現には3~6日を要し, 改善点はいびきの音量の減弱であり, 柴胡桂枝湯を中止すると2~4日でいびきの音量も元に戻った。1例での投与方法の検討では倍量の夕食前5.0g1回投薬でも, 通常投薬と同等の効果が1週間後判定で得られた。作用機序としては, 柴胡桂枝湯にはテンカンに対する治療効果が知られていることから, 何らかの脳神経中枢作用を介している可能性が考えられる。いびきの漢方療法として, 柴胡桂枝湯では最初の改善報告と思われる。