著者
西川 敏雄 村松 友義 松三 彰 井上 文之
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.92-96, 2008-01-15 (Released:2008-12-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

稀な真菌症である肺ヒストプラズマ症と診断された1例を経験したので報告する.症例は47歳,男性.検診にて胸部異常影を指摘され当院初診となった.右S9に10mm大の腫瘤を認めた.気管支鏡検査にてclass IIであり,また経過観察にて腫瘤の大きさ,性状とも変化を認めなかったが,肺癌の可能性も否定できなかったため手術を施行した.部分切除を行い,術中迅速病理検査にて悪性所見なしとのことであった.術後病理検査では当初クリプトコッカス症が疑われたが,抗体による免疫染色の結果では否定的であり,形態および遺伝子解析の結果よりヒストプラズマ症との診断であった.ヒストプラズマ症は国内での感染例は稀で報告例のほとんどは輸入感染症としてのものである.本症例は海外渡航歴はなく,国内での感染例である可能性もあるが,今後輸入感染症として増加することも考えられ,本疾患も念頭においた鑑別および治療が重要であると考えられた.
著者
村松 友義 丸高 雅仁 松三 彰 渡邊 直美 村上 和春
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.808-813, 2002-07-05
被引用文献数
6

症例は35歳,女性.ダイエット目的でビール酵母を2カ月間服用していたが上腹部痛,右背部痛,下痢が出現したため来院した.来院時末梢血白血球9500/mm<SUP>3</SUP>で好酸球が39%を占めていた.腹水および胃,十二指腸の生検で多数の好酸球を認め好酸球性胃腸炎と診断した.ステロイド投与により症状および検査所見は速やかに改善した.本症例の免疫学的所見を提示するとともに若干の文献的考察を加えた.