著者
橋本 隆雄 松下 一樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_522-I_533, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2

2016年熊本地震では,震度7が2回,震度6弱以上が7回発生し,熊本市,益城町,西原村,南阿蘇村等の宅地擁壁の被害が広範囲に数多く発生した.そこで,延べ2,870人被災宅地危険度判定士が熊本県内の被災した12の市町村において43日間で20,022件の判定を行った.本論文では,各市町村の宅地被害状況について被害項目ごとに分析し,既往地震と2016年熊本地震の比較を行った.その結果,熊本地震による宅地擁壁の被害は,空石積擁壁が29%(約1/3)を占め,傾斜・倒壊及び崩壊の被害が非常に多くなっている.宅地地盤の被害は陥没17%,沈下24%,段差15%が非常に大きく,のり面・自然斜面の被害は滑落・崩壊87%が非常に大きく,既往地震と比較すると被害割合・量ともに非常に大きいことが明らかとなった.