著者
松下 敬一郎
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.135-148, 2006-09-20

近年の日本の少子化においては、子供をもたない女子人口割合の増加が顕著にみられ、4人ないし5人に1人の女子が無子を選択している。本論では、子供をもたないことが選択される端点解が最適となるモデルを用いて、子供の養育費用が増加することにより端点を選択する割合が増加することを示している。さらに、実証研究のための含意として、端点においては子供の養育に対する補助の効果が小さいこと、経済的に自立している場合には子供をもたないことが資産所有者の資産分布に与える影響は小さいこと、子供の需要増加に結びつかない結婚の奨励は離婚を奨励することになる可能性があること、資産継承は子供の需要増加に結びついており少子化を減速させることを指摘している。