著者
松下 晃生 内山 雄介 高浦 育 小硲 大地
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_1003-I_1008, 2021 (Released:2021-11-04)
参考文献数
11

気候値海洋モデルを用いたLagrange粒子追跡実験により,南シナ海に河口を有する4本の大河川から放出される海洋マイクロプラスチック(以下 MP)の平年的な移流分散特性とその形成機構を解析した.MPの分散パターンにはモンスーンに伴う季節差が存在した.特に中国南部の2河川から放出された粒子は,南西モンスーンが卓越する春から夏にかけて台湾海峡を越えて東シナ海へと到達する割合が増加する傾向が見られたことなどから,南シナ海起源のMPが日本近海のMP汚染に大きく寄与している可能性が示された.さらにMP自身の重量密度にも着目し,海洋表層を漂う(軽い)MP,および浮力を持たない(中立密度)MPに分けて粒子追跡実験を行い,海洋での輸送傾向の違いを考察した.