著者
小林 史岳 唐澤 忠宏 松下 智人 小松 修 安達 亙
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.499-503, 2017-11-30 (Released:2017-12-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

ツキヨタケ中毒の6 例を報告する。ある住民が採取してきたキノコを,バター焼きにして近隣住民6 人で食べた。食事開始1 時間から1 時間30分で嘔気が出現し,全員が当院救急外来を受診した。救急隊により,摂取したキノコがツキヨタケである可能性が示された。入院し対症的,保存的加療を行ない,全員翌日に退院した。しかしながら, 1 名が退院翌日からの腹痛,食思不振のため,もう1 名が退院当日からの嘔吐,下血のため,退院翌々日に再入院となり,後者はCT で十二指腸から空腸に強い壁肥厚を認めた。 ツキヨタケ(Lampteromyces japonicus)による典型的な症状は,摂取後30分から3時間での嘔吐,下痢,腹痛だが,重症例では数日後に腸管の浮腫をきたすことがあるため,注意が必要である。