著者
三野 たまき 松井 泉樹
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.207-216, 2008

近年, 脚の整容効果を目的とした着圧ハイソックスが多数市販されており, むくみを気にする人は足を細く見せるために圧の高い製品を選びがちである.しかし, 着圧ハイソックスの整容効果の詳細とこれが生体に及ぼす影響につては未だ明らかにされていない.本研究では快適で効果的なむくみを改善するためのハイソックスの基本設計条件を検討した.被験者は19~23歳の女子8名であった.一日2回, 測定間隔を4時間以上あけた午前と午後に, 下腿と足部の容積を自作の測定ブーツを用いて測定した.3種類のハイソックス ("ちょうど良い"と感じるAソックス, 最も低圧の市販着圧タイプのBハイソックス, Aハイソックスの上にサポーターで膝下から脹ら脛にかけて覆ったCハイソックス) を着用した時の, 被服圧とその圧感覚 (比率尺度によって評価) ・相対容積変化率 (午後の容積から午前のそれを差し引いた相対値) を調べた.すると, 足部ではAとCに比べBを着用した時の方が有意に圧は高く, かっ"きつい"と申告したが, どのハイソックスであっても相対容積変化率には差がなかった.下腿部では, A<C<Bの順に圧が有意に高く, その時の圧感覚も同一順に"きつい"と評価したが, 整容効果はAよりはB・Cであるものの, BとCは同程度であった.このことから下腿および足部の整容効果を期待する場合, 効果の期待できない足部を無理に圧迫する必要はなく, 下腿部のみの圧迫で充分であると考えた.また, 足部を圧迫せずに下腿部のみを圧迫 (Cハイソックス着用時) しても, 足部と下腿部をともに圧迫 (Bハイソックス着用時) した効果が下腿部で得られた.