- 著者
-
松元 瑞枝
市川 勝
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.3, pp.330-338, 2017-09-30 (Released:2018-10-01)
- 参考文献数
- 19
失語症のある人 (Persons With Aphasia, 以下 PWA) がインフォームド・コンセント (Informed consent, 以下 IC) について抱いている思いを明らかにし, 必要と考えられる支援について検討した。在宅生活を送っているPWA 21 名に半構造化面接を行って逐語録を作成し, 質的に分析した。その結果, 言語障害や退院などに関する不安, 変化する言語症状についての自覚, リハビリテーション (以下リハ) 内容について理解困難, IC の説明不十分又は覚えていない, コミュニケーション支援に関するニーズ, 不 十分な同意の確認などの 12 のカテゴリーが生成された。従って, 医療関係者は PWA への IC の説明や同意の確認の際には, コミュニケーション支援を提供する必要があると考えられた。例えばリハ開始の説明の際写真や絵を用いるなどが考えられた。そして ICは必要に応じて繰り返すことが求められており, また, 言語聴覚士は適切なコミュニケーション支援について医療従事者に伝える役割を担う必要があると考えられた。