著者
中島 惠仁 小池 清美 深水 圭 楠本 拓生 玻座真 琢磨 松元 貴史 上田 誠二 奥田 誠也
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.493-499, 2013-05-28 (Released:2013-06-08)
参考文献数
32

ロサルタン,フロセミドによる中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)を発症し救命しえた1例を経験した.症例は76歳,男性.慢性腎不全と高血圧の教育入院中にTENを発症した.原因薬剤中止後も改善せず,ステロイド内服とステロイド外用薬に加え,ステロイドパルス療法,血漿交換を施行し,口腔内膿瘍合併に対しヒト免疫グロブリン大量静注療法(Intravenous immunoglobulin:IVIg)を併用した.リンパ球幼弱化試験(DLST)陽性と臨床経過よりロサルタン,フロセミドを原因薬剤と判断した.TENの原因薬剤としてロサルタンは本邦初,さらにフロセミドもまれであるため報告する.腎不全患者で薬疹が疑われた場合は速やかに被疑薬を中止し,薬疹が改善しない場合は重症薬疹を考え迅速に対症することが重要と考えられた.