- 著者
-
佐々木 陽
鈴木 隆一郎
堀内 成人
松宮 和人
荒尾 雅代
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.5, pp.610-616, 1977-09-30 (Released:2011-08-10)
- 参考文献数
- 17
Prediabetesへのアプローチの一方法として, 3歳3ヵ月で発病した小児糖尿病の血縁者で, 祖父母の同胞およびその子孫までに至る61名中55名の検査を行い, その糖代謝およびIRI反応について検討した.1) 糖代謝異常は55名中14名 (25.5%) にみられ著しく高率であった.これを患児の4親等以内の血縁者 (Group I) と5親等以上のもの (Group II) の別にみると, Group Iにやや頻度が高く, とくに0~19歳の若年層で7名中2名に糖代謝異常がみられた.平均血糖値は0~19歳の年齢層を除いて, 両Group間にとくに差はみられなかった.2) 糖代謝の正常な35名についてIRI反応を両Groupで比較すると, 患児と血縁関係の近いGroup Iでは血縁関係の遠いGroup IIに比しIRI反応が低く, またすでに報告したインスリン分泌の指標, IRI面積/血糖面積比も低下する傾向のあることが認められた.以上の結果, 糖尿病患児の糖代謝正常な近親者でもIRI反応が低下しており, prediabetesにおけるインスリン分泌の減退が示唆された.