著者
松寺 翔太郎 渡邊 峻 谷 有希子 山口 岳史 荻野 恵 桑島 成子 土岡 丘
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.116-121, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
18

毛髪胃石は経口摂取された毛髪が胃内で一塊となったもので,稀に腸閉塞を引き起こす.今回我々は毛髪胃石による腸閉塞に対し小開腹により胃石を摘出した一例を経験したので報告する.症例は11歳女児.腹痛・嘔吐を主訴に来院した.腹部造影CTでは非絞扼性の内ヘルニアが疑われた.イレウスチューブを挿入すると大量の血性排液を認めたため緊急手術を施行した.中腹部正中切開にて開腹すると,Treitz靭帯から200 cmの小腸内に長径6 cmの毛髪胃石を認めたため摘出した.術後イレウス管抜去の際に胃内の胃石残存が疑われ,内視鏡的摘出の方針とし術後9日目に一旦退院となった.再入院後,胃石の内視鏡的摘出を試みたが困難で,初回と同じ創で小開腹し長径8 cmの胃石を摘出した.開腹歴のない腸閉塞の鑑別診断として稀ではあるが胃石によるものも考慮する必要がある.また胃石の画像的特徴を認識し重複毛髪胃石の確認を行うことが重要である.
著者
鈴木 淳志 桑島 成子 松寺 翔太郎 土岡 丘 楫 靖
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.137-141, 2020

<p>ハンドスピナーは主に学童を対象とした玩具で,2017年頃から世界的に普及している.普及に伴い部品の誤飲が報告され,問題になっている.今回2例を経験したので報告する.</p><p>1例目は7歳女児,既往にTurner症候群をもつ.ハンドスピナー部品誤飲を母が目撃し来院.無症状かつ腹部単純X線写真で異物は胃内のため経過観察とした.しかし異物は1か月以上胃に停留したため,内視鏡的摘出施行となった.2例目は7歳男児,生来健康.ハンドスピナー部品のボタン電池のようなものを誤飲した後から腹痛を訴えたため来院.腹部単純X線写真で異物が小腸内であることを確認し,来院時症状軽快していたため経過観察した.</p><p>小児の異物誤飲は低年齢が好発で,多くは経過観察で対処可能であるが,ハンドスピナー部品誤飲は好発年齢が高く,内視鏡的摘出を要する率が高いとされている.病歴聴取より診断は比較的容易だが,長期停滞やボタン電池が含まれるため注意を要する.</p>