著者
打越 将人 植田 隆史 楫 靖 辻 昭夫 和田 昭彦 今岡 いずみ 松尾 導昌 丸山 克也 岡本 淳 滝沢 修
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.639-644, 2001-06-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
13

Studies have shown that diffusion MR imaging is a reliable method for the diagnosis of central nervous system diseases, especially acute cerebral infarction. Although echo planar imaging (EPI) is a promising tool for that purpose, it is vulnerable to susceptibility artifacts that are responsible for image distortion or signal loss. Our purpose in this study was to evaluate the usefulness of diffusion MR imaging with PSIF (reversed fast imaging SSFP) and split acquisition of fast-spin-echo signals for diffusion imaging (SPLICE) in the central nervous system (CNS). First, PSIF and SPLICE were applied to the phantoms. Each phantom, including acetone, acetic acid, and water, was analyzed for ADC based on SPLICE and for diffusion related coefficient (DRC) based on PSIF. The ADCs based on SPLICE were 4.36±0.89 * 10^<-3> mm^2/sec, 1.25±0.04 * 10^<-3> mm^2/sec, and 2.35±0.04 * 10^<-3> mm^2/sec, and the DRCs based on PSIF were 0.353±0.25, 0.178±0.07, and 0.273±0.018 for acetone, acetic acid, and water, respectively. These calculated ADCs based on SPLICE were well correlated with known diffusion coefficients, showing a correlation coefficient of 0.995. Second, PSIF and SPLICE were applied to the CNS. The advantage of PSIF and SPLICE was that susceptibility artifacts were reduced in the images of spinal cord and brain stem. PSIF was especially useful for diffusion MR imaging in the spinal cord. The disadvantage of SPLICE was the decreased SN ratio. We conclude that PSIF or SPLICE may be helpful when EPI diffusion MR imaging is insufficient.
著者
鈴木 淳志 桑島 成子 松寺 翔太郎 土岡 丘 楫 靖
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.137-141, 2020

<p>ハンドスピナーは主に学童を対象とした玩具で,2017年頃から世界的に普及している.普及に伴い部品の誤飲が報告され,問題になっている.今回2例を経験したので報告する.</p><p>1例目は7歳女児,既往にTurner症候群をもつ.ハンドスピナー部品誤飲を母が目撃し来院.無症状かつ腹部単純X線写真で異物は胃内のため経過観察とした.しかし異物は1か月以上胃に停留したため,内視鏡的摘出施行となった.2例目は7歳男児,生来健康.ハンドスピナー部品のボタン電池のようなものを誤飲した後から腹痛を訴えたため来院.腹部単純X線写真で異物が小腸内であることを確認し,来院時症状軽快していたため経過観察した.</p><p>小児の異物誤飲は低年齢が好発で,多くは経過観察で対処可能であるが,ハンドスピナー部品誤飲は好発年齢が高く,内視鏡的摘出を要する率が高いとされている.病歴聴取より診断は比較的容易だが,長期停滞やボタン電池が含まれるため注意を要する.</p>
著者
楫 靖 杉村 和朗 藤井 正彦 守殿 貞夫 黒田 輝
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度は未治療前立腺癌患者5名で協力の同意が得られた.超高磁場MR装置(Signa VH/I3.0T)を用いて,前立腺MRI撮像とMR spectroscopy(MRS)測定を行った.4名で前立腺生検後血腫が残存しており,ヘモジデリンによる磁場不均一化で,MRSでは雑音の多いスペクトルとなった.MRIでも血腫の影響が強かったが,血腫の無い前立腺健常部については導管構造が詳細に描出されており,通常の1.5テスラMR装置の画像よりも細かい構造評価が可能と考えられた.平成16年度は血腫の影響を避けるため生検前患者51名にMR検査を行った.血腫は同定できなかったが,腸管ガス貯留により磁場が乱れ,良質のスペクトルを得られないことがあった.これには検査前夜に下剤を投与することで対応した.スペクトルを解析すると非常に高品質なスペクトルと雑音の多いものが混在していた.対象となった患者の前立腺の体積は大きく全領域を均一に励起できないことが理由と考えられ,現装置の限界であった.質の高いスペクトルが得られたのは,25症例の辺縁域40領域,移行域40領域であった.生検結果と対比させると,MRSで得られた(コリン+クレアチン)/クエン酸比(CC/C)は,辺縁域癌(5領域)で1.94,移行域癌(3領域)で1.84を呈し,健常な辺縁域(0.46)や移行域(1.03)と比べて有意に高かった.CC/Cと病理学的悪性度を表すGleason scoreを対比させると,関連性が示唆されたが有意ではなかった.期間内の研究では,MRSの情報を加味した新たな侵襲性を予測する指標を作成することはできなかった.しかし,均一に励起されている領域のスペクトルの質は,一般の1.5テスラMR装置を使用した場合よりも格段に信号雑音比,スペクトル分解能に優れており,MR装置の改善により前立腺癌の診療に有用な情報をもたらす可能性があると考えられた.