著者
清水 洋 馬越 孝道 松尾 ★道
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.41, pp.13-18, 1993-06-25
被引用文献数
5

九州中・西部の地殻内地震活動およびそれらの発震機構から推定される地殻応力場の特徴を調べた。その結果, 地震活動については, 別府-島原地溝帯や日奈久断層系など当該地域の顕著な地質構造に対応した帯状または線状の分布が明かになった。また, 天草灘では, 地溝の両側の縁に沿って2重の地震活動帯が明瞭に認められた。発震機構については横ずれ型が卓越している。張力軸はおおよそ南北であり, 地殻変動から推定される広域地殻応力場と矛盾しないが, 起震応力としては東西圧縮力が無視できない。さらに, 深発地震を用いて最上部マントルのS波偏光異方性を調べた結果, 先行S波の偏光は, 別府-島原地溝帯を境にその北側と南側でそれぞれ北西-南東方向と北東-南西方向に卓越する可能性が示された。