著者
松尾 俊和 中越 享 中村 司朗
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.23-27, 2009-06-25
被引用文献数
2

魚骨穿通による肝膿瘍の1例を経験したので報告する。症例は74歳の女性で、右上腹部痛、発熱を主訴に入院となった。入院時胸部CTで肝外側区域から背側に突出するような低濃度腫瘤と線状陰影を認め、魚骨刺入による炎症性肉芽と診断した。Free airはなく魚骨は胃から離れていたため、心不全、脱水の治療を優先し、待機的に手術施行した。術前の造影腹部CTでは、肝外側区域に肝膿瘍を形成していたため、魚骨摘出と肝膿瘍ドレナージ術を施行した。一般的に本症の診断は困難であるが、MDCTの施行により術前の確定診断が比較的容易となった。