著者
松尾 範久
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
消費者金融サービス研究学会年報 (ISSN:13493965)
巻号頁・発行日
no.2, pp.29-34, 2002-11-01

日本経済がバブル崩壊後の後遺症から容易には立ち直れない中で、93年以降、軒並み上場を果たしてきた消費者金融サービス業界は、業績の好調さが際立っている。各社ともにテレビCMを活用するなど知名度向上に努めてきたほかIT化の推進や業界のイメージアップ活動に邁進。低金利下での無担保ローン残高の増加により収益拡大につながってきた。ただ、それぞれの企業毎に業績推移に違いも見られるほか、リストラによる失業者の増加から貸し倒れの増加が懸念されるなど不安定要因も想定される。市場規模がかなり大きくなってきたことから、これまでのようなビジネスモデルの延長線上で収益の伸びがどこまで維持されるのかは予見しずらい状況でもある。足元の業績好調に支えられた株価形成が、今後どこまで続くのかがアナリストとしての関心の的であるが、それとは別に消費者金融サービスの上場8社の時価総額が5兆円を超え、経常利益が7000億円を超えてきた現状において他の金融ビジネスや産業との比較においてもそのパワーが感じられる点や過去のインデックスとの比較から相対的な期待の高まりが感じられる。企業の実態を分析し、投資家に伝える役割を担うセルサイド、バイサイドのいずれの組織にも属さない独立した証券アナリストとしてこれまでの消費者金融株の動向を分析し、今後の各企業の課題等を明らかにしていきたい。今回は最後にインターネットを活用した投資家へのアンケートを実施。個人投資家の消費者金融株への認識度を調査した結果を示しておいたので参照願いたい。