著者
松山 泰男
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.194, 2016-01-15

オペレーティングシステム(OS)の講義では,並行処理についての説明が行われるが,低学年の受講生はこれを並列処理と誤解することがある.そこで,並列処理では複数のプロセッサがあり,同時に複数個のプロセスが走りうると説明している.このとき,プロセッサを優れた研究者とみなして,科学技術における大発見が同時に起こりうるということを,ジェイプサイ中間子の発見と公開鍵暗号の発明を例にして説明している.そして,このような同時性の悲喜劇を説明した後,話を再びOSに戻す.筆者もそうだったが,むしろこういう逸話の方が学生の脳裏には長く残るようである.
著者
松山 泰男
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.914-918, 2017-09-15

学部生にとってスーパーコンピュータ(スパコン)は身近なものとはいえないが,今日のスマホはかつてのスパコンを凌ぐ能力を有している.従って,スパコン実技を有する学部生の育成は将来に向けて重要である.中国では,ASC17として参加学生数1000名を超える世界最大級の競技会を世界最高速のTaihuLightを用いる形で開いている.その競技内容はクラスター機の組み立てや深層学習を含むレベルの高いものであり,ワークショップではエクサスケール化やスパコン評価規範の変更に関する展望も示された.一方,その直後のドイツでのISC17では11チームという少数の院生を含むコンペが開かれており,好対照となっている.
著者
松山 泰男
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.70-73, 2015-12-15

今日,学生の気質は大きく変化しており,それに伴って新たな教育方法に関する提言が数多くなされている.本稿は,情報処理学会優秀教材賞の受賞により,このことに関する例示を依頼されたものである.ここでは,若い教員と国際大賞受賞者級の教員との対比を第一軸とし,伝統的な講義形態と完全な学生主体型授業の対比を第二軸として設定している.この形で眺めてくると,激変のさなかにある教室風景のそれぞれが,いったいどの辺にあるのかが見えてくる.本稿では,実例を国内外の理系の場合に絞っているが,いずれ各機関がそれぞれの立場に応じた新方式を実現することになり,それが新たな教育産業にもつながると結論している.