著者
松岡 みゆき
出版者
名古屋大学国際言語センター
雑誌
名古屋大学日本語・日本文化論集 (ISSN:1348804X)
巻号頁・発行日
no.25, pp.37-57, 2017

本稿は、従来の品詞分類で「感動詞」に分類される一音節語「あ」について、それが運用されることの意味(聞手の解釈にどう影響するか)という観点から考察し、その機能を提示したものである。「あ」は (1)弁別刺激の同定・描写、(2)弁別刺激に関連する情報の取出し、(3)弁別刺激からの状況判断といった話手の反応(これをまとめて本稿では「気づき」と表現する)を示すマーカーであると考えられる。このマーカーを用いることで、聞手に対して(聞手のおこなう解釈に対して)特定の働きかけをおこない、結果として、言語場の創設または聞手に配慮することによる言語場の保持に貢献する。