著者
松岡 瑞樹
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

(研究目的)現在日本での生食用トマト消費量は、過去15年間、ほぼ横這いであるが、国内の生食用トマト栽培面積がH10年と比較するとH25年には11%低下している。今後、栽培面積が低下し続ける傾向にあるので必要量を供給するために、単位面積当たりの生産量を向上させる技術を持つことが必要不可欠である。本研究ではトマトの低段密植栽培をする際に、鉄の直管を組み合わせた幅0.65m×長さ13.5mの高設ベンチに、雨樋(㈱タキロン製, 幅0.2m×長さ12.0m)を乗せ、培養液をポンプでくみ上げ循環させる方式による高生産性トマトの栽培研究を実施した。現状では、品種が麗容の場合、栽植密度を6000株/10aとした上で、3段栽培で年3作収穫した結果、25.4t/10aのトマト果実収量を得ることができた。しかし作型、品種、栽植密度の更なる改善で生産性の向上が見込めることから、年間収量を30t/10a以上でBrix6%以上のトマトを生産することを目標とし、マニュアル化を進めた。(研究方法)品種については、麗容、麗夏、桃太郎ファイト、桃太郎グランテ、カリオーソ、ピノッソの6品種を使用した。栽植密度は、6000株/10aの慣行区と10000株/10aの超高密度区を設定し試験を行った。作型については、3段栽培で年3作栽培する慣行区と2段栽培で年4作栽培する夏季栽培リスク分散型の処理区を設け栽培を行った。(研究成果)栽植密度10000株/10aにおいて、麗容→カリオーソ→カリオーソ→ピノッソの順に年4作2段収穫栽培した際に、収量が30.4t/10aでBrix5.9以上であった。販売率が88.6%であり、この作付けが最も品質と収量に優れていて有効であると考えられる。同様の作型により全て麗容で栽培を行うと32.8t/10aで最も収量性が高いが、販売率が50.4%で夏季の裂果や冬至の日照不足による乱形果が多くなり販売率に問題がある。秋冬時期の密植栽培は、光環境が非常に悪く晴天の日でも0μmol/㎡/sとなる期間が長く、乱形果や小果の発生が麗容や桃太郎系統の品種に多く見られる。今後は、株元の摘葉量、摘葉時期、LED照射による光環境の改善により単位面積当たりの収量性と品質の向上に向けて研究を進める予定である。