著者
松島 麻鈴 前田 晃宏 高橋 享子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.3-12, 2019 (Released:2019-02-15)
参考文献数
27
被引用文献数
1

0.1%抗原添加食餌による経口免疫療法 (OIT) が, 強制経口投与 (ゾンデ) によるOITと同等の症状緩和及び免疫寛容を誘導するか検討した。マウスへの卵白アレルギー誘導は, 卵白混合水酸化アルミニウムゲルの腹腔感作と卵白経口惹起で行った。惹起されたマウスを3群 (非治療群, ゾンデ群, 食餌群) に分け, 非感作マウスも用意した。治療期間中は4週間とし, 食餌群は0.1%卵白含有20%カゼイン食を, 他の群は20%カゼイン食を与えた。また, ゾンデ群は30 mg/mL卵白溶液を, 他の群はリン酸緩衝生理食塩水を各々100 μL毎日強制経口投与した。ゾンデ群と食餌群の卵白腹腔負荷試験後の直腸温低下は, 非治療群より抑制された。さらに, ゾンデ群と食餌群の血漿中オボアルブミン特異IgE濃度とオボムコイド特異IgE価は, 非治療群より低値を示した。しかし, ゾンデ群と食餌群とでこれらの指標に差はなかった。したがって, 1日の抗原摂取量が少量かつ同等であれば, 持続的摂取は単回摂取と同等の治療効果を有することが示唆された。