- 著者
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本宮 嘉弘
山内 春夫
松川 不二夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本交通科学学会
- 雑誌
- 日本交通科学学会誌
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.2, pp.18-24, 2011
道路を横断中の歩行者が跳ねられた事故において、衝突地点を特定することは自動車の衝突速度や運転者の過失を判断するうえで重要なことであるが、靴などによる路面の痕跡によって衝突地点を特定できることは稀であり、ほとんどの場合、運転者の供述や目撃証言に頼らざるを得ないのが実情である。歩行者との衝突地点を特定する1つの方法として、制動痕の屈曲現象がある。実際の事故において歩行者を跳ねた自動車の制動痕がわずかに屈曲していることがあるが、この屈曲がほぼ衝突地点(衝突地点から0〜2m先)で生じることをダミーを用いた衝突実験およびコンピューターシミュレーションで確認した。また、跳ねられた歩行者がかぶっていた帽子が事故現場に落ちている場合があるが、衝突実験の結果、帽子は衝突の瞬間に脱げることが多いため、衝突地点付近に遺留される傾向のあることが確認された。ただし、落下途中で帽子が車両に接触して、数メートルほど飛ばされることもあるので注意を要する。また、歩行者のさしていた傘も衝突地点付近に落下する傾向のあることが実験により確認された。