著者
神鳥 和彦 松木 美栄 石川 達雄 広瀬 明浩
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.23-32, 2006-09-29

今日,教育現場における大きな問題の一つである理科離れの原因として,子供達の身の回りのものに対する好奇心の低下が考えられる。理科の授業で行われる実験は,理科に村して好奇心を子供達に持たせる機会となるにも関わらず,その実施状況は分かっていなかった。そこで,大阪,京都,奈良の3府県の公立中学校で,これまで行われてきた化学・生物・物理のアンケート調査に続き,地学の実験実施状況を調査した所,これまでに行われてきた実験よりも大きく実施率が低下している事が分かった。これは,地学分野が時間的,地理的,経済的に実験を授業で取り入れ難い教科であるというばかりでなく,教師の経験や知識の深さ等も影響しているものと考えられた。今回の結果から,地学という教科が,今日の教育においてどのような位置付けをされているのかを,今一度考える必要性が示唆された。