著者
松本 ゆみ 新井 英雄
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.16-26, 2020-03-31 (Released:2020-03-28)
参考文献数
25

糖尿病は代表的な歯周病の全身的リスクファクターである。今回36歳,女性の1型糖尿病を有する広汎型侵襲性歯周炎患者に対し,内科主治医と連携し血糖コントロールに配慮しながら,歯周基本治療,矯正治療,そして歯周組織再生治療と歯周形成手術を含めた歯周外科治療,口腔機能回復治療を含めた包括的歯周治療を行い,初診から10年経過した現在,歯周状態を良好に維持することができている症例を報告する。本症例を通して,歯列不正を伴う広汎型侵襲性歯周炎患者に対して,早期に感染源除去を図ることはもちろん,プラークコントロールしやすい歯周環境を整え,安定した咬合関係を再構成すること,全身状態と局所的なリスクを把握してSPTを継続することが重要であることが示された。