著者
荒牧 英治 若宮 翔子 岩尾 友秀 川上 庶子 中江 睦美 松本 妙子 友廣 公子 栗山 猛
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.337-348, 2018 (Released:2020-02-28)
参考文献数
8

急速な医療のIT化と共に,様々な医療情報や医薬品情報が電子化されつつある.しかし,医薬品の適正使用に欠かせない添付文書については表記が統一されているか等の質に関して,これまで体系的な調査は実施されていない.そこでわれわれは,小児領域に着目し,添付文書に小児に関する情報がどのような形で記載されているかを調査した.その結果,小児に対する用法・用量の情報が記載されている割合は添付文書全件の13.5%,小児頻用医薬品についても49.2%にとどまっていることが分かった.特に,詳細な小児区分である低出生体重児や新生児に関しての記述が少ないことが判明した.さらに,添付文書の記述方法についても,年齢区分や安全性,記載場所に曖昧性が存在し,小児医療の現場での医薬品適正使用の障壁となっている可能性が高い.本研究により,今後は添付文書の表現のゆれや曖昧性をなくす等の添付文書自体の質の向上も必要であると考えられる.