- 著者
-
岩藤 百香
松本 正富
- 出版者
- 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- vol.64, 2017
小児医療においては,子どもに対する分かりやすい説明と自発的な賛意を求めるインフォームド・アセント(Informed assent)が必要とされている.本稿は,サンパウロのカマルゴがんセンターが映画配給会社ワーナー・ブラザースとの協力により行っている,小児がん患者の治療に対するやる気を引き出すプロジェクト『Super Formula Project(スーパーヒーローによる処方)』について取り上げる.現地調査,プロジェクト担当医師へのインタビュー調査に基づいて,インフォームド・アセントにおける視覚的要素の重要性に着目しつつ,プロジェクト導入のプロセスについて報告する.<br>インタビュー調査では,①プロジェクト実現までのプロセス,②プロジェクト運営チームについて,③実施後の効果,④プロジェクトの現状の4カテゴリについて,18項目の質問を行った.その結果,ヒーローキャラクターが子どものやる気を引き出すだけでなく,自らのアイデンティティ理解の向上につながること,医療者および家族といった大人とのコミュニケーション円滑化にも役立つといった意見が得られた.