著者
松本 聰子 熊野 宏昭 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.425-432, 1997-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21
被引用文献数
4

摂食障害患者は健常者よりも食事制限の程度の高いことが指摘されているが, これまでその具体的内容の違いについての検討は行われていない。そこで本研究では, ダイエット行動尺度, EAT-20,BingeEating尺度を女子高校生2,019名, 女子大学生847名に施行し, 実際にどのくらい, どのような食事制限を行っているのかというダイエット行動と摂食障害傾向, さらにbingeeatingとの関連の検討を行った。その結果, ダイエット行動には構造的ダイエットと非構造的ダイエットがあり, 摂食障害傾向が高くなるにつれて, 構造的ダイエットも非構造的ダイエットも高頻度で行うようになるが, 摂食障害群では特に非構造的ダイエットの頻度の高いことが示唆された。また, bingeeatingにはダイエット行動の中でも非構造的ダイエットのみが影響していることが明らかにされた。
著者
松本 聰子 熊野 宏昭 坂野 雄二
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.11-23, 1999-09-30

本研究の目的は父親,母親,同胞,女友達,男友だちのうち誰からの「やせに対する社会的圧力」という社会的影響が最も強く,そしてどのように摂食障害の発現に影響しているのかを明らかにすることであった.なお,対象は女子学生2,866名,平均年齢は17.20歳(SD=1.81)であった.その結果,いずれの社会的影響も自己像不満,やせ願望,摂食障害傾向,そしてダイエット行動と関連しており,その中でも女友達からの影響は最も関連が強く,父親からの影響は最も弱いことが明らかにされた.また,重回帰分析の結果から,自己像不満には肥満度の影響度の方が社会的影響よりも強かったが,その他の変数に対しては社会的影響の方が強いことが示された.パス解析の結果,肥満度は自己像不満を媒介してのみ、一方,社会的影響は自己像不満とやせ願望,そして食事強迫に直接影響し,それらを媒介してダイエット行動に結びついていることが明らかにされた.