著者
中田 英二 大山 隆弘 馬原 保典 市原 義久 松本 裕之
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.71-82, 2004-06-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
29
被引用文献数
9

海底下に掘削された岩盤坑道において, 堆積岩試料を採取しその浸水崩壊特性について調査を行った. この結果, 海底下坑道で採取した堆積岩 (粗粒砂岩, 細粒砂岩, 砂質泥岩) は, 一度乾燥させたのち, 蒸留水に浸水させた場合, 崩壊して砂, 泥状になるものが多いことが明らかになった. 一方, 同じく乾燥させた試料を塩水に浸水させた場合, 崩壊しないことが明らかとなった. また採取した試料のうち, 方解石を含有する岩石は蒸留水中でも浸水崩壊しなかった. 海底下のようにNaイオンに富み, スメクタイト含有率が1.5wt%以上の岩石は浸水崩壊しやすく, 透水係数は粘性係数の大きな塩水を通水した方が, 蒸留水を通水した場合よりも大きくなる傾向が認められた. 蒸留水による透水試験終了後, CaCl2溶液を通水させた試料は, 浸水崩壊を起こさなかったことから, 岩石の力学的性質は間隙水に溶存するイオンの種類や濃度, 粘土鉱物の量と層間イオンの種類により異なると考えられた. 地下深部の利用に際しては水質が力学的性質へ与える影響も考慮しておくことが重要と思われた.