- 著者
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松本 道弘
川口 淳一郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本航空宇宙学会
- 雑誌
- 宇宙技術 (ISSN:13473832)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.43-52, 2005 (Released:2006-01-25)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
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今日の電気推進機関の技術進歩により,高比推力の推進機関が実用化されるようになり,さまざまな惑星探査が可能となった.そして今後も,火星や木星をはじめとする,深宇宙の惑星を探査する機会が増えていくと考えられている.宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部では,地球近傍ではなく地球引力圏界に,中継拠点として深宇宙港を建設しようという検討を行っている.本研究では,太陽-地球系L2点に深宇宙港を設置することを想定し,低推力推進機関を搭載した宇宙機によるL2点を発着地とした深宇宙往還システムを考え,その脱出軌道を論じる.また同時に,本軌道設計において地球と同期する回帰惑星間軌道上で軌道エネルギーを離心率の拡大によって蓄積する手法(Electric Delta-V Earth Gravity Assist(EDVEGA))が有効であることを示し,EDVEGA軌道への接続を考えた脱出軌道についても提案する.
なお,本検討は,その対称性からL1点深宇宙港に対しても,同様に当てはめることができる.