著者
松村 光重 御影 雅幸
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.493-499, 2002-01-20
被引用文献数
1

マメ科のクズの根に由来する漢薬"葛根"は, 昨今は日・中共に冬期に採集されている。しかし, 中国古代の本草書には採集時期は旧暦5月すなわち初夏であると記されている。本草学的研究の結果, 葛根の採集時期は元あるいは明代に変化し, 主な原因は冬に採集される食用葛根との混乱であったと考察した。『傷寒論』や『金置要略』のごとき古代の医方書に記された処方には初夏に採集した葛根を調剤すべきである。