著者
松林 由里子 渡辺 一也 川越 清樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_249-I_256, 2014 (Released:2014-12-12)
参考文献数
22

近年増加する集中豪雨が社会基盤施設に与える影響と,今後の水管理および設計基準強化への提案を示すため,2013年8月9日に秋田,岩手県で発生した集中豪雨による鉄道盛土の流出と流木による河道閉塞の被害調査解析結果を示し,今後必要となる対策の検討を試みた.これらの被災事例は,小規模河川に接した保全重要度の高い社会基盤施設において,河積不足に関わり,被災地域の地形や土地被覆,河川上流域の土砂,斜面,樹林などの特徴によって複合的に生じた被害であり,小規模河川の整備優先度や河川改修率の低さに影響を受けていることが明らかとなった.また,今後の被害低減のためには,施設周辺の複合的要素に関する豪雨時の実績データの蓄積と,解析による知見の整備が必要であるという結論を得た.