- 著者
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松枝 洋二郎
森 茂
- 出版者
- The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
- 巻号頁・発行日
- vol.J105-C, no.8, pp.235-243, 2022-08-01
プラスチック基板上にTFT (Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)アレーを形成したFLX-OLED (Flexible Organic LED:フレキシブル有機EL)ディスプレイは,3D曲面を駆使した質感の高いデザインを採用し,各種センサーを内蔵したモバイル市場の頂点に立つ最先端の電子デバイスである.積極的な製造ラインへの投資が続く中国のFLX-OLED市場では,世界初の新技術も次々に登場し,韓国と熾烈な技術開発競争を繰り広げている.FLX-OLEDのバックプレーンには,従来のLTPS (Low Temperature Polycrystalline Silicon:低温多結晶シリコン) TFTだけでなく,低消費電力を特徴とするLTPO (Low Temperature Polycrystalline Oxide) TFTも登場し,酸化物TFTも含めた次世代バックプレーンの三つ巴の戦いの様相を呈している.本論文ではモバイル用有機ELディスプレイの最新技術開発動向をレビューするとともに,最大の課題であるコスト削減のためのTFTの要求性能について議論する.