著者
鳥居 淳 石川 仁 木村 耕行 齊藤 元章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.11, pp.537-544, 2017-11-01

ExaScaler社では,省電力スーパーコンピュータZettaScalerシリーズを開発,展開している.最初の世代であるZettaScaler-1.xでは,PEZY Computing社が開発したMIMDメニーコアプロセッサPEZY-SCを採用し,高密度実装を図ったBrickと呼ばれるサーバ集合体を,フッ化炭素系不活性液体をもちいて液浸冷却を行い,高性能,低消費電力,小型化を実現した.本論文では,このZettaScaler-1.xで開発した独自のハードウェア技術とプログラミングに関して解説する.また,現在構築中のZettaScaler-2.0について,磁界結合TCI (ThruChip Interface)によるDRAMとの3次元実装技術や,新たなBrick構造,冷却システムについて言及する.更に,エクサスケールコンピューティングに向けた今後の方向性について展望する.
著者
小玉 秀男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J64-C, no.4, pp.237-241, 1981-04-25

ホログラフィー,透視図表示,等高線表示あるいは各種投影図面による表示など,3次元的な立体の形状を表示するための技法が種々考案されている.ホログラフィーを除いては,いずれも3次元情報を2次元情報に変換するという手順を含んでおり,立体形状の理解や感覚的は握のためには必ずしも充分な手法とはいえない.ホログラフィーにはこの種の欠点はないものの,再生装置が必要なことや,実在しない仮想物体の表示が困難であることなどの欠点がある.従って,現在のところ立体形状の感覚的は握のためには模型を作成することが最善であるが,模型作成には手間と費用がかかり,現実に作成されることは少ない.そこでこの研究では光を照射することにより固化する性質を持つ感光性樹脂を利用することにより,立体形状を自動的に作成する手法の可能性を検討した.この手法は紫外線照射という容易に自動化されうる単一の動作のみで,極めて複雑な形状をも作成可能なものであり,3次元情報の意味する形状が自動的に作成されうるものである.3次元情報のハードコピーに相当し,計算機システムの端末機器的な利用によって,3次元情報の新たな表示法になりうるものとして提案するものである.
著者
小木曽 義弘 尾崎 常祐 上田 悠太 脇田 斉 金澤 慈 石川 光映
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J103-C, no.1, pp.61-68, 2020-01-01

通信容量の更なる増大に対応すべく,デジタルコヒーレント光通信においては更なる高ビットレート化が求められており,伝送距離の観点からデバイスの高ボーレート化技術に近年注目が集まっている.本研究では,IQ光変調器高速化のブレークスルー技術として,新たな半導体層構造と電極構造を組み合わせた超広帯域(〜80 GHz)且つ低電圧動作可能な(Vπ:〜1.5 V)光変調素子を提案し,その長期安定性含めた基本動作から100 GBdを超えるIQ光変調動作実証までを行った.更に,ドライバICとの一体集積により光等化処理を行わずに最大128 GBdまでのIQ光変調動作を世界で初めて成功させた.本論文では,その新規構造の特徴について述べるとともに,次世代100 GBd級光送信器に向けた課題等についても議論する.
著者
吉本 直人 鈴木 謙一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.6, pp.208-215, 2023-06-01

最後の「デジタル・デバイド領域」と言われている海中・水中環境をデジタル化・ネットワーク化することによって,広大な水中世界をIoTサービスが提供可能な領域とする「水中IoTサービスプラートフォーム」や「水中デジタルツイン」の構築を通じ,次世代の経済成長のエンジンとして水中環境を新たな経済圏として創出することが期待されている.近年,水中環境や構造物を3Dで高精度にデジタル化する手段の一つとして,水中LiDARが注目を集めている.本論文では,まず水中LiDARの基本的な構成技術の概要について述べた後,社会実装する上での水中LiDARへの要求条件を整理する.次に,開発を行った水中LiDARの水中環境下での測定対象物の3Dデータ計測実験結果を紹介し,今後の課題と技術開発の方向性について示す.
著者
岩本 孝太 坂本 雅弥 岩城 昴琉 黒木 太司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.3, pp.81-86, 2022-03-01

農業人口の高齢化に伴いスマート農業システムの概念が提唱されており,高齢農業者が手探りで土中農作物を収穫している現状にあっては,新しい土中生育農作物探知機の導入が望まれている.とりわけ土中で収穫されたタケノコは酸化などによるえぐみが無く,生の状態で食することができることから市場では高額で取引される.そこで本論では低価格で実現可能な土中タケノコ探知機の試作を目的として,タケノコの実,皮,及びタケノコ農園の土壌の複素誘電率をUHF帯で測定し,その結果をもとに共振型電極を用いて地表から5 cm程度に生育するタケノコの探知を理論・実験両面から検討することによりその可能性を示した.
著者
園田 潤 木本 智幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J104-C, no.3, pp.60-66, 2021-03-01

地中レーダは,地上から入射した電波が地中の誘電率差で反射することを利用して地中物体を検出する技術であり,近年劣化が社会問題化している道路や橋梁等の社会インフラの異常検出に有効な技術である.しかしながら,地中レーダで得られるレーダ画像から地中物体の材質や大きさを推定することが課題であった.本論文では,レーダ画像からの地中モデル逆推定を目的に,深層学習による画像生成手法である敵対的生成ネットワークGANを用いたモデル逆推定手法について述べる.
著者
森 洸遥 辻 寧英
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J101-C, no.5, pp.245-252, 2018-05-01

Kerr型非線形媒質を用いた光デバイスは,光による高速な光制御を行うことが可能であるため,全光型ネットワークの重要な素子である光スイッチや光論理ゲートを実現するため盛んに研究が行われている.しかしながら非線形媒質では,通常の線形デバイスの設計理論を直接応用できない場合も多く,汎用的で効率的な設計法が求められている.本論文では伝搬解析手法に有限差分ビーム伝搬法,感度解析に随伴変数法を用いたトポロジー最適設計法をKerr型非線形媒質を含む場合に拡張し,光スイッチ及び全光型論理ゲートの最適設計に関する検討を行っている.
著者
廣瀬 明 丁 天本
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J98-C, no.10, pp.184-192, 2015-10-01

本論文は,複素ニューラルネットワークのエレクトロニクスでの利点を,概念的な側面と具体的な例示によって議論する.本質的に複素ニューラルネットワークは波動を扱う際に有効な汎化特性をもつ.複素数の実2 × 2行列表現を見ながらこれを論じる.また具体例として,通信チャネルを一つの複素実体として捉えて移動体通信のチャネル予測に複素ニューラルネットワークを適用する場合を挙げ,その優位性と背景にある考え方を述べる.
著者
橋本 修 須賀 良介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J107-C, no.1, pp.2-8, 2024-01-01

電波環境の悪化にともない,電波吸収体には吸収特性のみならず付加価値として,薄型化,軽量化,透明性,加工性などが要求されている.WPT (Wireless Power Transfer) 分野においても室内で,反射や透過を繰り返すことで多数の伝搬経路が形成されることから生じる室内の電波環境の悪化を良好にすることが要求されている.本論文では,このような目的で室内用の電波吸収体として,発泡剤を用いた軽量電波吸収体,分割導電膜(DCF: Divided Conductive Film)を用いた薄型電波吸収体,円形パッチを配列した超薄型電波吸収体,導電紙を用いた電波吸収体など代表的な研究例について解説する.
著者
三浦 周 関口 真理子 大倉 拓也 小竹 秀明 白玉 公一 斉藤 嘉彦 カラスコ-カサド アルベルト 阿部 侑真 辻 宏之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.9, pp.344-353, 2023-09-01

5G/Beyond 5Gと衛星通信を含む非地上系通信網(Non-Terrestrial Networks:NTN)の連携に関し,現在の動向や技術課題,情報通信研究機構(NICT)による研究開発の取組みを俯瞰的に記述する.衛星通信を含むNTNプラットホームが低軌道(Low Earth Orbit:LEO)衛星,高高度プラットホーム(High-Altitude Platform Station: HAPS)等の登場や電波・光技術の進展によって従来よりも大容量化,低遅延化,低コスト化が進んでいる.これを背景として,衛星通信/NTN-5G/Beyond 5G連携のためのネットワークアーキテクチャや無線アクセス方式が検討され,The 3rd Generation Partnership Project(3GPP)等での標準化が進んでおり,国内でも議論や提言,構想の提案がなされている.衛星通信/NTN-5G/Beyond 5G連携のキーとなる技術はネットワーク技術と,これを支える電波・光技術である.NICTでは,Beyond5Gにおける海・空・宇宙をつなぐ3次元ネットワークの実現を目指して衛星通信/NTNと5G/Beyond 5Gの連携技術の研究開発の取組みを進めている.ネットワーク技術では,異なる特徴をもつ複数のネットワークを連携させ,ユーザ及び運用事業者の満足度を最大化するため,統合的なネットワーク制御が必要である.そのため5Gネットワークと衛星の連携の研究や,NTNと地上系を相互接続するためのシステム構成の検討,リソース割当アルゴリズムの開発を行っている.電波技術では,高速大容量化を実現するための高周波数帯(Ka/Q/V帯)の利用,高速大容量化のためのマルチビーム化と周波数利用効率を向上するためのデジタル化を活用したリソース割当の柔軟性の向上,移動体地球局の柔軟性向上のための電子走査型平面アンテナ(AESA)の開発を行っている.光技術では,高速大容量通信や小型軽量化を実現できる利点を生かし,GEO衛星やLEO衛星,HAPS,ドローン等様々なプラットホームに搭載可能な光通信機器の開発や,地上衛星間光通信における大気揺らぎを補償する補償光学の研究を行っている.
著者
吉澤 誠 杉田 典大 湯田 恵美 山家 智之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.3, pp.90-98, 2023-03-01

筆者らは,家庭や職場における簡単な健康管理を目指し,何のセンサも身に着けずに遠隔・非接触的に生体情報を得るための言わば「ウェアレス」なセンシングを実現するための「魔法の鏡」プロジェクトを進めてきた.本論文では,このプロジェクトで開発した,血行状態,自律神経系指標,血圧相関値などの健康関連情報を測定・蓄積・解析するクラウド版「魔法の鏡」と,それをプラットホームとする,体動や照明変動の影響を受けない掌映像脈波計測システム「魔法の球」,及び複数顔同時検出機能のある映像脈波計測システム「魔法の眼」について報告し,その有効性と限界について考察する.
著者
武山 真弓 佐藤 勝 安井 崇 横川 慎二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J103-C, no.9, pp.387-394, 2020-09-01

野生鳥獣の駆除とジビエ利活用が全国的な展開を示す中,北海道ではエゾシカの食用としての利用は1割程度であることから,ジビエ利活用促進のための新たな取り組みが必要不可欠である.我々は,電気的な特性からエゾシカのおいしさを評価し,その解析に従来難しいとされてきた等価回路モデルを選定しなくても簡易な近似で等価回路モデルと遜色ない解析結果が得られるという新たな手法を見出した.更に,従来の化学的な手法や官能検査によるおいしさ評価も行い,電気的な特性との相関について検討した.我々の提案する手法は,リアルタイム計測であることから,食品分野などへの応用が大いに期待される.
著者
園田 潤 小関 勇気 佐藤 源之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J97-C, no.8, pp.324-327, 2014-08-01

本論文では,GPUにおけるディレクティブの統一規格であるOpenACCを用いたFDTD法,最適2次FDTD法,MW-FDTD法のGPU実装について,CUDA実装やCPUにおけるOpenMPマルチスレッド計算との比較検証を行っている.
著者
石田 謙司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.12, pp.408-414, 2023-12-01

有機材料特有の柔軟性,生体親和性を利用したフレキシブル有機圧電薄膜のインプランタブル生体センサ/発電素子の検討を行った.心臓モデルでの発電出力計測に加え,アレーセンサによる心臓の動きを3次元的に測定するデバイスを開発した.
著者
渡辺 重佳
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.11, pp.403-404, 2023-11-01

複数入力可能な複数入力積層型Gate-All-Around (GAA)トランジスタ構造を新たに提案した.8F2(Fはデザインルール)の微細なパターン面積の中に高速低電力なCMOS NAND,NOR回路が実現できることを初めて示した.ロジックLSIで良く使用される入力数4の場合,過去最少のパターン面積を実現した積層型SGTと比較して高速性能を保持しつつ平面パターン面積を40%に縮小できる.
著者
王 晨旭 川口 秀樹 渡邊 浩太
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.10, pp.366-372, 2023-10-01

リコンフィギュラブルコンピューティング技術に基づくハイパフォーマンスコンピューティングの試みとして,データフローアーキテクチャ専用計算機の方法を提案し,電磁界シミュレーション,とりわけ,マイクロ波シミュレーションへの応用を検討してきた.このとりくみの次の段階として,より広範囲の電磁界をとり扱うためには,大型疎行列計算のハードウェア化が重要な課題となる.本研究では,典型的な疎行列計算スキームBiCG-Stabのハードウェア回路化に際して必須のタスクとなる倍精度浮動小数点相当の精度を有する多倍長整数型除算回路の検討を行ったので報告する.
著者
内藤 喜之 水本 哲弥
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J69-C, no.3, pp.257-261, 1986-03-25

強磁性材料フェライトは,焼結フェライト,ゴムフェライトといった形で電波吸収体として用いられている.しかし,これらフェライトを用いた場合,電波吸収体の厚さを薄くするのにはある一定の限界がある.そこで,ゴムフェライト電波吸収体の厚さを薄くする目的でこれにカーボンを添加し,その電波吸収特性を検討した.その結果,カーボンをフェライトの数%~10数%(体積比)添加することによって吸収体厚を約30%薄くできることがわかった.吸収体の厚さを薄くすることはその重量を軽減することにつながる.さらに,フェライトに比べてカーボンの方が比重が小さいので,カーボン混入によって吸収体が薄層化されることは吸収体の軽量化に大きな効果をもつ.本論文はこれらカーボン添加ゴムフェライトの電波吸収特性をまとめたものである.
著者
宮崎 龍一 須賀 良介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.8, pp.334-335, 2023-08-01

電子レンジのグリル機能ではグリル皿に貼付したフェライトをマイクロ波により加熱することで食品を下面から焼くが,そのフェライトに生じる定在波による食品の焼成ムラが懸念される.本研究では,1/4波長共振器を用いてフェライト内部の磁界分布を均一化する手法について電磁界解析により検討した.
著者
久保田 繁 有馬 ボシールアハンマド 廣瀬 文彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.7, pp.267-276, 2023-07-01

有機薄膜太陽電池は低コスト,高デザイン性,軽量,フレキシブル,無毒性といった優れた特徴を併せもつ次世代の太陽電池であるが,薄い(~100 nm)発電層に光を十分に吸収するのが困難であるという技術的な課題が存在する.このため,波長と同程度の空間スケールを有するナノ構造を用いて光の流れを制御することで,発電層内の電界を局所的に強化することにより光吸収を促進する光閉じ込め技術の開発が,今後特に重要になると考えられる.本論文では,筆者等がこれまで行ってきた,表面ナノ構造による有機薄膜太陽電池の光閉じ込めに関する研究について,薄膜太陽電池特有の光制御技術に関する知見と合わせて紹介する.
著者
岩城 江津子 河西 秀典 木村 睦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J106-C, no.4, pp.129-136, 2023-04-01

微細化・積層化が容易な酸化物半導体を用いることで,高集積化を目標としたハードウェアによる大規模な多層ニューロモルフィックデバイスの研究,開発を行った.酸化物半導体にはアモルファスIn-Ga-Zn-O(IGZO)を用い,IGZO薄膜が2層となる3次元構造デバイスの作製を行った.IGZOの電気的特性を,生物のシナプス素子の学習則であるヘブの学習則を応用させた修正ヘブの学習則の,重み付け原理で利用した.また,作製したデバイスでパターン認識学習を行った場合をシミュレーションすることでデバイスが知的学習が可能であるかの確認を行った後,実験を行い,シミュレーションと同様に学習が可能であることを実証した.結果として2文字の文字パターンである0と1の学習に成功し.ニューロモルフィックデバイスとして作製したデバイスが有用であることを示した.