著者
鳥居 淳 石川 仁 木村 耕行 齊藤 元章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.11, pp.537-544, 2017-11-01

ExaScaler社では,省電力スーパーコンピュータZettaScalerシリーズを開発,展開している.最初の世代であるZettaScaler-1.xでは,PEZY Computing社が開発したMIMDメニーコアプロセッサPEZY-SCを採用し,高密度実装を図ったBrickと呼ばれるサーバ集合体を,フッ化炭素系不活性液体をもちいて液浸冷却を行い,高性能,低消費電力,小型化を実現した.本論文では,このZettaScaler-1.xで開発した独自のハードウェア技術とプログラミングに関して解説する.また,現在構築中のZettaScaler-2.0について,磁界結合TCI (ThruChip Interface)によるDRAMとの3次元実装技術や,新たなBrick構造,冷却システムについて言及する.更に,エクサスケールコンピューティングに向けた今後の方向性について展望する.
著者
廣瀬 明 丁 天本
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J98-C, no.10, pp.184-192, 2015-10-01

本論文は,複素ニューラルネットワークのエレクトロニクスでの利点を,概念的な側面と具体的な例示によって議論する.本質的に複素ニューラルネットワークは波動を扱う際に有効な汎化特性をもつ.複素数の実2 × 2行列表現を見ながらこれを論じる.また具体例として,通信チャネルを一つの複素実体として捉えて移動体通信のチャネル予測に複素ニューラルネットワークを適用する場合を挙げ,その優位性と背景にある考え方を述べる.
著者
園田 潤 小関 勇気 佐藤 源之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J97-C, no.8, pp.324-327, 2014-08-01

本論文では,GPUにおけるディレクティブの統一規格であるOpenACCを用いたFDTD法,最適2次FDTD法,MW-FDTD法のGPU実装について,CUDA実装やCPUにおけるOpenMPマルチスレッド計算との比較検証を行っている.
著者
小玉 秀男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J64-C, no.4, pp.237-241, 1981-04-25

ホログラフィー,透視図表示,等高線表示あるいは各種投影図面による表示など,3次元的な立体の形状を表示するための技法が種々考案されている.ホログラフィーを除いては,いずれも3次元情報を2次元情報に変換するという手順を含んでおり,立体形状の理解や感覚的は握のためには必ずしも充分な手法とはいえない.ホログラフィーにはこの種の欠点はないものの,再生装置が必要なことや,実在しない仮想物体の表示が困難であることなどの欠点がある.従って,現在のところ立体形状の感覚的は握のためには模型を作成することが最善であるが,模型作成には手間と費用がかかり,現実に作成されることは少ない.そこでこの研究では光を照射することにより固化する性質を持つ感光性樹脂を利用することにより,立体形状を自動的に作成する手法の可能性を検討した.この手法は紫外線照射という容易に自動化されうる単一の動作のみで,極めて複雑な形状をも作成可能なものであり,3次元情報の意味する形状が自動的に作成されうるものである.3次元情報のハードコピーに相当し,計算機システムの端末機器的な利用によって,3次元情報の新たな表示法になりうるものとして提案するものである.
著者
園田 潤 昆 太一 佐藤 源之 阿部 幸雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.8, pp.302-309, 2017-08-01

現在,トンネルや道路などインフラの劣化が社会問題化しており,異常箇所を効果的に早期発見することが必要とされている.このような社会インフラの検査センシングには地中レーダが有効である.しかしながら,例えば,鉄筋コンクリート下の空洞検出のような電磁波が多重散乱しレーダ画像が複雑になるような場合では,信号処理をしても空洞の判定が困難で熟練技術者による判読が必要になる問題があり,得られたレーダ画像の検証や検出可能な物体サイズなどの理論的検討が必要であった.そこで本研究では,地中レーダを用いた鉄筋コンクリート下の空洞を客観的・定量的に検証するために,GPUを用いたFDTD法による高速地中レーダシミュレーションにより空洞検出特性を明らかにする.
著者
金 成主 成瀬 誠 青野 真士
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.6, pp.261-268, 2017-06-01

我々は先行研究において,意思決定問題を物理的に解く新しい計算原理である「綱引き原理」を提案した.本研究では,無線通信におけるチャネル割当ての全体最適解の計算を,「ユーザ内意思決定」と「ユーザ間相互作用」を表現する綱引き原理の導入により物理的に実現できることを示す.そこでは,複数のシリンダ内の二種類の流体のダイナミックスが利用される.この「全体最適意思決定装置」を使うことにより,膨大な計算コストが要求される評価値の計算を流体の物理プロセスに委ねることができ,高々ユーザ数に比例したコストを要する操作(シリンダ内の流体界面の上下運動)を繰り返すだけで,全体最適解を得ることができる.これは,自然現象の揺らぎ,保存則,アナログ性から,知的能力を引き出す新しい試みである.
著者
金田 悠紀夫 相磯 秀夫 淵 一博
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J52-C, no.5, pp.267-273, 1969-05-25

タイム・シェアリング・システムにおいては,多くのユーザ・プログラムに主記憶装置を有効に割当てる必要がある.その一方式として擬似ページ・アドレス方式を本論文で提案する.本方式は筆者らが開発したETSS(ETL's Time-Sharing System)に採用されていて,ほとんど特別なハードウェアなしでページングを実現し,ページングの利点を生かしてオーバヘッドの軽減に役立っている.またその効率についてもユーザ・プログラムがランダムおよびラウンド・ロビンの順で実行されているとした場合について統計的解析を行ない,その一般解が得られたのでそれを示す.また若干の計算例も得られたので,擬似ページ・アドレス方式の効果を示すものとして図2~図7に示した.
著者
今野 海航 園田 潤 金澤 靖 佐藤 源之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J98-C, no.5, pp.87-95, 2015-05-01

FDTD (Finite-Difference Time-Domain)法を用いた実環境における電波環境解析を実現するために,撮影した対象環境中の物体までの距離情報が直接得られる深度センサと,三次元点群処理のライブラリであるPCL (Point Cloud Library)による三次元復元技術を応用した実環境FDTD数値モデル構築システムを開発する.本システムは,(1)深度センサで測定された距離情報からPCLにより深度センサを基準にした相対座標を取得し,(2)得られた相対座標と対象環境中の基準平面から深度センサの傾き角を算出することで対象環境中の水平垂直面を基準にした絶対座標を計算し,(3)ポイントクラウドデータが存在する三次元セル上に電気定数を与えることでFDTD数値モデルを構築するものである.本論文では,実際に室内二つの対象環境でFDTD数値モデルを構築し,三次元座標の精度や処理時間を評価している.
著者
堀部 雅弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J97-C, no.2, pp.51-60, 2014-02-01

本論文では,近年利用が進むサブミリ波・テラヘルツ波領域のベクトルネットワークアナライザの(VNA)測定確度(不確かさ)を改善及び解析する手法を報告する.一般に,VNAの測定確度は,校正用標準器等の不完全な特性や接続部での反射等による偏差と,VNAの安定性や被測定物のテストポートへの接続の繰り返し性などのばらつきにより決まる.本論文では,サブミリ波・テラヘルツ波領域の測定における測定確度低下の要因を抽出・対策を行うことで,高精度化するとともに,VNAの測定確度(不確かさ)を決定する要因の紹介と解析方法を解説し,例として,測定周波数範囲750 GHz 〜 1.1 THzのWR-1.0導波管VNAについて,不確かさの解析結果を紹介する.
著者
小関 勇気 園田 潤 金澤 靖 佐藤 源之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J96-C, no.6, pp.151-155, 2013-06-01

これまで,室内モデル等によるFDTD解析が行われているが,解析結果の現実的かつ三次元可視化の高速化に課題があった.本論文では,SfMシステムにより構築した実環境モデルと,データ転送量を削減したマルチGPUによるFDTD法を組み合わせ,実環境下における三次元ポインティングベクトル分布の高速可視化を実現する.
著者
新井 俊希 北村 和也 米内 淳 大竹 浩 林田 哲哉 丸山 裕孝 バン クイク ハリー 江藤 剛治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J94-C, no.9, pp.252-260, 2011-09-01

最高撮影速度が200万枚/秒の30万画素超高速度CCDを開発した.この超高速度CCDはフォトダイオードと読出し用垂直転送路の間にフォトダイオード1個につきそれぞれ144個のCCDメモリを配置した特殊な構造により構成される.全画素一斉の並列動作で信号電荷をCCDメモリに記録することで超高速度撮影が可能になった.超高速度CCDの最高撮影速度を見積もるため,フォトダイオード中の電荷の移動時間により制限される最高撮影速度と,CCDメモリに印加される電圧波形がなまり,電荷転送容量が低下しその結果飽和信号レベルが低下することで制限される最高撮影速度について検討を行った.その結果,電圧波形なまりに起因する飽和信号レベルの低下が最高撮影速度を制限する主要因であることが明らかになった.対策として分割駆動と配線抵抗の低減について検討を行い,いずれも効果的であることを示した.計算結果を踏まえて,分割駆動の分割数を8とし画素配線抵抗を2分の1に低減することを行った超高速度CCD-V6を新たに設計し素子を試作した.駆動評価実験の結果,飽和信号レベルは30万枚/秒まで100%を維持し,100万枚/秒において50%,200万枚/秒において13%が得られていることを確認した.200万枚/秒におけるダイナミックレンジは36.8 dBであり,映像信号6ビット相当が得られていることを確認した.
著者
奥村 治彦 内田 龍男 金子 節夫 下平 美文 内池 平樹 服部 励治 中西 洋一郎 山崎 映一 中本 正幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.433-453, 2009-08-01

2002年には,金額ベースでは,FPD全体の市場がCRT市場を超え,特に成長が著しくFPDの活躍の場である携帯電話を中心としたモバイル市場はもとより,最近になって,CRTの最大市場であるテレビ受像機市場でも逆転現象が発生するまでにFPD市場が急成長してきた.このような中,本論文では,中心的な役割を果たしてきたCRTと,その主役を引き継ぐFPD(LCD,PDP,EL,FEDに分類)について,ここ40年のそれぞれの技術進化を振り返り,将来を展望する.
著者
渡辺 重佳
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.467-476, 2009-08-01

本論文では現在の半導体メモリ市場の主流製品であるDRAM,フラッシュメモリと今後の大きな市場が期待される FeRAM ,MRAM,PRAM, ReRAM 等の新型メモリの過去40年の歴史とその将来展望に関して述べる.DRAMではメモリセルの構造とメモリセルサイズの縮小が重要であり,その高速性のため,パソコンの主記憶等に使われる.マルチメディア情報の記憶媒体として使われるフラッシュメモリは不揮発性特性と低コスト技術が重要であり,低コスト化のため多値化,積層化が進められている.新型メモリは近い将来は各メモリ固有の研究開発状況に合わせた製品化が重要だが,将来はDRAMとフラッシュメモリの特性を併せ持つユニバーサルメモリの実現が期待される.
著者
榎本 忠儀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.477-487, 2009-08-01

動画像符号化プロセッサLSI(符号化LSI)が世界で初めて開発されたのは1987年であった.その後飛躍的な発展を遂げ,現在のディジタルマルチメディア時代が築かれた.本論文では,まず符号化LSI開発の歴史を振返る.次に符号化LSIの高速化・高性能化・低電力化を実現するために開発された各種技術を解説する.更に, MPEG-2 符号化LSI, MPEG-4 符号化LSIのチップアーキテクチャ,機能,特徴,H. 264/AVCのチップ応用を詳述する.最後に,将来に向けた符号化LSIの低電力化技術に言及し,符号化LSIの将来を展望する.
著者
高田 政明 飯田 幸雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J86-C, no.12, pp.1342-1349, 2003-12-01

FDTD法において表面インピーダンス境界条件を用いた実用的な導体境界処理法を提案している.本方法では,導体の表面インピーダンスを集中定数回路の入力インピーダンスで近似する.その近似は広帯域において高精度であることが示されており,本方法の有効性を数値的に確認している.
著者
岡上 久美 鈴木 光夫 富永 隼賢 染矢 和樹 加藤 孝弘 濱崎 勝義
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J90-C, no.6, pp.502-511, 2007-06-01

Bi2Sr2CaCu2Ox (Bi-2212)単結晶を用いた固有ジョセフソン接合の作製法として開発した自己平たん化法,及び固有ジョセフソン特性(臨界電流,リターン電流)の温度依存性について述べる.自己平たん化法では,ジョセフソン接合窓(スタック部)以外のBi-2212単結晶を希塩酸(0.20%, pH 1.40)に浸漬させ,絶縁体へ改質させた層を平たん化層として用いる.作製したBi-2212スタックの臨界電流及びリターン電流の温度依存性Ir(T)を測定した結果,臨界電流は高温(T>40 K)でAmbegaokar-Baratoff理論から上方にずれていた.一方,リターン電流は約40 Kから徐々に増加し始め,80 K程度で極大値をとった後,臨界電流の温度曲線と一致(ヒステリシスが消滅)した.このIr(T)特性を,Zappeモデルを用いて解析した.解析にはBi-2212のc-軸抵抗の温度特性(T>Tc)の現象論モデル(Heineモデル)から推定されるジョセフソンバリヤ層の抵抗の温度依存性を考慮した.このモデルでIr(T)特性の実験曲線の形を良く説明することができたが,パラメータの定量的な議論にはまだ課題が残されている.